
見慣れた風景をコラージュし、詩的なイメージを生み出すサラ・ファン・ライの作品「時の奥行」シリーズは、中央通りの三栄ビル(写真)と東京建物日本橋ビルに展開
八重洲、日本橋、京橋、銀座エリアを跨ぐかたちで、複数会場を舞台に国際的に活躍するアーティストの作品を展示し、写真を通じた文化観光の促進を目指す都市型アートフェスティバル「T3 PHOTO FESTIVAL TOKYO」が10月26日まで開催されている。今回のテーマは、「写真がひらく、新しい『と』の世界」。日本語でもっとも小さな接続詞のひとつである「と」。人と人、自然と都市、作品と見る者を結び、新たな関係を生み出す「と」の芸術として写真をとらえ、その接続によって世界の可能性を問い直す意図が込められている。T3ファウンダーの速水惟広は次のように語る。
「日常的に使われる接続詞であり、『自分と他者』『男と女』『自然と都市』のように二項対立で物事を考える際に使われる語でもありますが、東洋には『表裏一体』や『陰陽』のように、それとは異なるものの見方があります。そうした見方を通して世界をどうとらえることができるか。そんな世界のとらえ方を提示できればと思います」

最初に訪れたのは、2026年9月にオープンしたばかりの商業ビル「TOFROM YAESU TOWER(トフロム八重洲タワー)」。メイン・エキシビションのひとつ、南アフリカ出身で同地を拠点に制作を続けるザネレ・ムホリによる「ものが王冠になるとき」と題する個展が開催されている。
展示される作品シリーズのタイトルは、「漆黒のライオネスよ、讃えよ」。洗濯バサミや櫛などの家事労働の道具を「王冠」として身につけたセルフポートレイトを手がけるムホリが浮き彫りにするのは、”take a picture”の”take(奪う)”、”capture an image”の”capture(捕える)”、”shoot a photo”の”shoot(撃つ)”という「写真を撮る」を英語で表現するときの動詞に見える「所有」と「支配」という関係性。

白人の肌の白さを強調するために改良が続けられたフィルムの特性を逆手に取り、コントラストを強めることでアフリカ人の肌の黒さを強調し、そこに矜持を込める。演出した撮影によって、アフリカ系黒人のアイデンティティを力強く画面に立ち上がらせることに成功した。トフロム八重洲タワーの1階で、都市の光景とアフリカの祝祭空間との融合が起こる様子は圧巻だ。