公開日:2022年10月29日

「冨樫義博展 -PUZZLE-」レポート!『幽☆遊☆白書』『HUNTER×HUNTER』『レベルE』の原画が森アーツセンターギャラリーに集結

総数350点以上の貴重な原画・制作資料が公開。本展のための書き下ろし原稿やイラストも

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

六本木の森アーツセンターギャラリーにて、「冨樫義博展-PUZZLE-」が開催されている。会期は2023年1月9日まで。

冨樫義博は1966年山形県新庄市生まれ。『幽☆遊☆白書』、『レベルE』、『HUNTER×HUNTER』など、多くの人気マンガを発表してきた。その魅力のひとつは、キャラクターの心情や人間関係など、緻密で複雑に編み込まれた作品設定だろう。本展はそうした作者の思索の過程と、遊び心を忘れない作風をこめた「PUZZLE」をコンセプトに空間を構成。「キャラ」「設定」「ストーリー」「描写」「特異点」という5つのピースを着眼点として、作品を紐解くと同時に一枚のネームが完成するまでの制作過程を想像させる。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

会場入り口には、冨樫作品に登場するキャラクターたちが壁一面に並ぶ。どれも作中から切り取られた姿なので、それぞれのキャラクターがどのシーンのなかにいるのか、考えてみるのもよいだろう。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

最初は『幽☆遊☆白書』エリアから。1990年に連載をスタートした本作は、主人公・浦飯幽助をめぐるオカルトマンガ。2023年にNetflixで実写シリーズ化したことも話題だ。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
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本展で注目するのはキャラクターたちの放つ「パンチライン」。戦いの最中に発せられる決め台詞は、バトルシーンをより盛り立てるだろう。ほかには、幽助、桑原、飛影の巨大パネルも。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

続いて、『レベルE』のエリアへ。ドグラ星からやってきたバカ王子が起こす悪ふざけをもとに展開するSF作品である本作は、オムニバス形式であるのが特徴のひとつ。『幽☆遊☆白書』とは打って変わって、モノクロで直線を用いたシャープなデザインの展示空間が印象的だ。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

いよいよ次のエリアは『HUNTER×HUNTER』。冨樫作品のなかでもっともよく知られた本作は、主人公・ゴンが、仲間との冒険を経て、ハンターとして成長していく様子が描かれる。先日の連載再開を待ち望んでいたファンも多いだろう。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

作品を盛り上げる「念能力」に関するコーナーには、作品のなかでは直接ふれられていない「冨樫メモに基づいた『念能力』設定資料」も公開されている。本レポートではその詳細は公開できないため、気になる人は会場へ足を運んでチェックしてみてほしい。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

展示空間の中央には、「念能力」の特性を調べる水見式のグラスも。シリーズごとに分けられた原画はどれも見事だが、エリアの最後、メルエムとコムギの名シーンを見れば、キメラアント編をもう一度読みたくなるはず!

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「“奇”生物の世界」のエリアは作品に登場する奇怪なデザインの生物たちが集結。時折作品に登場し、そのヴィジュアルで大きなインパクトを残すモンスターたちは、作家のキャラクターデザインの豊富な引き出しを示しているだろう。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90
会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90 ©︎ Y.T.1986,1987,1988,1989

展示の最後は、作者自身にせまる「冨樫義博」エリア。初期作品の原稿や、冨樫のマンガ家としての経歴に加えて、本展のための描き下ろしキーヴィジュアルイラストや、マンガ家や芸能人などゆかりのある人物からのクリエイターズメッセージも。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

会場内の公式ショップでは、90点以上のオリジナルグッズが。会場で展示されている原画やイラストを多数収録した公式図録をはじめ、本展を記念して制作されたものが並ぶ。

会場風景より ©︎ Y.T.90-94 ©︎ Y.T.95-97 ©︎ Y.T.98-22 ©︎ Y.T.89-90

『HUNTER×HUNTER』の連載再開もあり、冨樫作品を振り返りたい人も多いはず。本編をおさらいできることはもちろん、貴重な原画とともに作品の裏側を知ることができる本展に足を運んでみてはいかがだろうか?

浅見悠吾

浅見悠吾

1999年、千葉県生まれ。2021〜23年、Tokyo Art Beat エディトリアルインターン。東京工業大学大学院社会・人間科学コース在籍(伊藤亜紗研究室)。フランス・パリ在住。