公開日:2026年6月12日

「椿昇 フリーダムー像(ゾウ)と生きる」(十和田市現代美術館)レポート。ピンクの巨大なゾウが問う「自由」とは?

青森県の十和田市現代美術館で現代美術家の椿昇の個展が開催中。会期は6月6日~11月8日

椿昇 the Elephant in the Room XL 2026 撮影:小山田邦哉

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美術館では14年ぶり、東北初の個展

国内外の著名アーティストの作品を常設展示し、今年開館18周年を迎える青森県の十和田市現代美術館。同館のシンボルのひとつが、外庭に恒久展示されている椿昇の野外彫刻《アッタ》(2008)だ。中米に生息するアリを真紅のロボットにした本作は、巨大な生命体を通して現代の資本主義社会に問いを投げかける椿の制作姿勢を表わしている。

その椿の個展「椿昇 フリーダム―像(ゾウ)と生きる」が同館で11月8日まで開催されている。椿の個展は国内の美術館では14年ぶり、東北では初めて。メディアアートやエコロジー思想に詳しい同館の四方幸子館長が発案し、チーフ・キュレーターの長尾衣里子が企画を担当して、個展開催に合わせ《アッタ》の修繕作業も10年ぶりに行われた。

椿昇 アッタ 2008  撮影:永田晶子

椿は1953年京都府生まれ、京都市立芸術大学美術専攻科修了。1980年代後半から色鮮やかなFRPを用いた有機的形状の立体作品を発表し、80年代の「関西ニューウェーブ」の代表的なひとりと目された。89~91年にアメリカ7都市を巡回した日本の現代美術展「Against Nature: Japanese Art in the Eighties」に出品して注目を集め、第45回ヴェネチア・ビエンナーレ(1993)をはじめ数多くの国際展にも参加。主な個展に「国連少年」(水戸芸術館 現代美術ギャラリー、2003)、「椿昇2004-2009: GOLD/WHITE/BLACK」(京都国立近代美術館、2009)など。京都芸術大学美術工芸学科教授として後進を指導し、アーティスト自らが企画・運営する異色のアートフェア「ARTISTS’ FAIR KYOTO」(2018~)のディレクターを務めるなど多方面で活動している。

現代美術家の椿昇 撮影:永田晶子

昆虫や異形の生命体の巨像を制作してきた椿が、今回の個展の核に選んだモチーフは地上最大の哺乳類「ゾウ」。着想源のひとつは、脳科学者の茂木健一郎が自分の作品を評した「the elephant in the room」(部屋のなかのゾウ)という英語の慣用句だったという。「the elephant in the room」とは、扱いづらい問題や暗黙のタブーといった、誰もが気づいていながら話題にしない状況を指す。本展は4章構成で、椿が現代社会に氾濫する像(イメージ)と個人、自由の関係を見つめ直した新作などを紹介している。

椿昇 the Elephant in the Room XL 2026 撮影:小山田邦哉
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