公開日:2025年9月9日

いま、関西で見たい展覧会5選(大阪・京都・兵庫):坂本龍一の大規模展、士郎正宗の世界展、神戸六甲ミーツ・アートなど

毎月1回更新。編集部が注目する、9月に関西エリアで開催されている展覧会をピックアップ。気になる展覧会はお見逃しなく

「民藝誕生100年—京都が紡いだ日常の美」(京都市京セラ美術館、京都)

柳宗悦、河井寬次郎、濱田庄司が京都に集うことで始まった「民藝」運動。「民藝」という言葉が誕生して100年を迎えるにあたって行われる本展では、その言葉が生まれるきっかけとなった木喰仏をはじめ、黒田辰秋、青田五良の作品や、民藝館、三國荘のために制作された河井寬次郎、濱田庄司、バーナード・リーチらの工芸作品、柳宗悦らによる日本全国の蒐集品、芹沢銈介、棟方志功ら関連作家の優品を展示。さらに英文学者の寿岳文章、京菓子の鍵善良房、牛肉水炊きの祇園十二段家、民藝の建築を推し進めた上田恒次など、京都における民藝運動の推進者や支援者に関連する作品や資料などもあわせて紹介し、京都と民藝との関わりに光を当てる。

会場:京都市京セラ美術館
会期:9月13日〜12月7日

「モノに学び、ものをつなぐ ― 水・土・虫・草木・獣毛・染料・布など ―」(京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA、京都)

1966年から2003年までニューヨークのメトロポリタン美術館で染織品保全修復部長を務め、現在は京都に在住する梶谷宣子。本展は、博物染織品の保全修整研究家である梶谷が、メトロポリタン美術館に勤務するかたわら長年にわたって世界各地で調査・収集してきた染織素材資料を中心に展示するもの。繊維の種類、構造、質感、色など、糸や布そのものが持つ物理的特性や素材の成り立ち、その意味を多角的にとらえる「染織博物学(Textile Nature & Cultural Studies )」という新たな研究分野の実践として、梶谷の資料とともに学生による実習の記録や映像もあわせて紹介される。

会場:京都市立芸術大学ギャラリー@KCUA
会期:8月17日〜9月15日

「sakamotocommon OSAKA 1970/2025/大阪/坂本龍一」 (VS.、大阪)

2023年にこの世を去った坂本龍一の大阪では初となる大規模企画展。坂本は1970年、18歳のときに大阪万博を訪れ、多彩な音楽やアートに触れた。2016年以降、当時の万博で展示されたバシェの音響彫刻を演奏・録音する機会を得て、その音を自身の作品に取り入れていた。坂本が遺したものを共有化する試みとして始動した「sakamotocommon」が贈る本展では、1970年の大阪万博のために制作されたバシェの音響彫刻を展示するほか、東京藝術大学のバシェ修復プロジェクトチームが坂本のために制作した新たな音響彫刻も紹介。さらに東京都現代美術館「坂本龍一|音を視る 時を聴く」展で公開されたインスタレーションの一部も展示されている。レポートはこちら

会場:VS.(ヴイエス)
会期:8月30日〜9月27日

『攻殻機動隊』の作者である士郎正宗。1985年にSF漫画『アップルシード』でメジャーデビュー後、1989年に連載を開始した『攻殻機動隊』は、当時はまだ世に浸透していなかった先端技術を独自の感覚で取り入れ、情報化社会の現代を予見しているかのような世界観で多くの人々を魅了してきた。本展では、同作を含む多様な作品群と現在の活動までを、アナログ原稿とデジタル出力原稿でたどるとともに、作家の蔵書やコメントもふんだんに紹介。「士郎正宗」のパーソナルな部分にも迫る、初の大規模展覧会となる。

会場:PARCO GALLERY OSAKA
会期:9月5日〜10月5日

「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」(六甲ガーデンテラスほか、兵庫)

「神戸六甲ミーツ・アート2025 beyond」は、神戸・六甲山上の各会場を舞台に、自然のなかを散策しながら作品を楽しめる現代アートの芸術祭。16回目を迎える今回は、「環境への視座と思考」をテーマに掲げ、奈良美智、岩崎貴宏、岡田裕子、川俣正、やなぎみわをはじめとする約60組のアーティストによる作品が展示されている。六甲山の豊かな自然や眺望を背景に、アートを通じた多様な視点で環境を見つめ直す機会を生み出すことを目指す。子供と一緒に巡るポイントも紹介している展覧会レポートはこちら

会場:六甲ガーデンテラスほか
会期:8月23日〜11月30日

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