公開日:2026年11月5日

「ユアサエボシと戦後アヴァンギャルドの変身寓話集」(練馬区立美術館)レポート。「フェイク」と「リアル」の前衛絵画でひもとく「変身」の多義性

「変身」をキーワードに、架空の画家に擬態する現代美術家のユアサエボシと戦後の前衛美術家たちの絵画など約100点を展示。会期は10月31日~12月27日(撮影:永田晶子)

会場風景より、左からユアサエボシ《傀儡の王》、同《MIKADO》(いずれも2026、作家蔵)

*チケット割引情報🎫

Tokyo Art Beatの有料会員機能「ミューぽん」を使うと本展のチケット料金が100円OFFに! 会員ログイン後に展覧会ページからご利用いただけます。ミューぽんの詳細はこちら。

...

架空の画家に擬態する現代美術家と戦後の前衛美術。小川哲も参加

東京・中村橋の練馬区立美術館で、企画展「ユアサエボシと戦後アヴァンギャルドの変身寓話集」が開催されている。会期は12月27日まで。担当は同館の木下紗耶子学芸員。

本展は、「変身」をキーワードに、現代美術家のユアサエボシの新作を含む絵画群と、戦後に前衛美術を追求した池田龍雄(1928~2020)、高山良策(1917~1982)、中村宏(1932~2026)の代表作など計約100点を展示。ユアサは1983年千葉県生まれ。「大正生まれの架空の三流画家・ユアサヱボシ」という設定で絵画制作に取り組み、自身を「擬態派」と呼ぶ。戦後と現代を往還する試みは高く評価され、金沢21世紀美術館や東京都現代美術館などに作品が収蔵されている。

本展を企画した意図を木下は次のように話す。

「ユアサさんの作品は、古い大衆文化やキッチュな要素も含む異質なモチーフ同士が緊張感を持って組み立てられ、絵画として非常に面白い。またユアサさんが変身して絵画を制作するユアサヱボシ(以下ヱボシ)は、当館の重要な所蔵作家である池田や高山、中村と設定のうえで同時代の画家でもある。ふたつを接続することで、戦後日本の前衛美術における『変身』モチーフの広がりと多様性を探るとともに、過去に対する鑑賞者の想像力を喚起できればと思う」

会場風景より、ユアサエボシ《理想社会》(2018、個人蔵)

本展には、2023年に直木賞を受賞した小説家の小川哲(1986~)も参加し、架空の物故詩人になりきって「ヱボシ」に影響を与えたとされる詩を書き、会場で発表。ユアサが絵画とともに年譜を発表してきた「ヱボシ」の生涯の物語に、新たなエピソードが加わるかたちとなった。

会場風景より、小川哲《架空の詩人・桐生冬一郎による詩「北満夜行」「暮れる市場」》(2026、作家蔵)
...