中落合ギャラリーはFountain(ロンドン)およびP3 art and environment(東京)と協同して、新進気鋭のアーティスト、サラ・ツェーの、東京における初めての個展を開催いたします。香港出身のアーティスト、サラ・ツェーの作品は、少女期の移ろいゆくスケッチです。2009年にセントラル・セント・マーチンズ・カレッジ・オブ・アート・アンド・デザインを卒業後、彼女はロンドンで活動を続けています。近年始めた鉛筆によるドローイングでは、子供時代の記憶や旅や夢に触発された不条理な世界が描かれます。彼女は説明のつかないパターンやイメージを配列し、はかなく、ノスタルジックで、永遠な、そしてしばしば心騒がせる世界を生み出していきます。サラはもっとも基本的な道具である鉛筆と紙を使って、スケッチを通し、対象の意味を操り、世界の判断方法を変えていこうとするのです。夢が持つ移ろいの本質を掘り起こして、彼女のドローイングは生気を帯びます。サラは彼女のスケッチを通して、もうひとつの領域、人が現実を逃れ、無垢のままでいられるような世界を生み出そうとしています。中落合ギャラリーでの展覧会では、FountainとP3 art and environmentの「アトリエ・インタラクション・レジデンシー・プログラム UK-Japan」により、サラ・ツェーが大分県別府市に2ヶ月間滞在して制作した新作が展示されます。別府の地域コミュニティに触発されて作りだされた作品たち。色彩豊かな別府の路地に生きる8人のかけがえのない人々、たとえば「切手ヒーロー」、「ミセス・モンチッチ」、「カサブランカ・リリー」、「ゴッドファーザー」といった人々が自らの物語りを語り、それが鉛筆によるドローイングとして描かれました。また今回は、中落合ギャラリーとの共同作業でつくられた東京での新作も発表されます。これは新宿区中落合という特別な、時間の消えた永遠の場所、その密なるコミュニティと作り上げる作品です。本展では、別府で制作されたドローイングと人々の物語り、そしてキース・ウィットルと芹沢高志によるエッセイを収録した35ページの限定出版本もご紹介いたします。
より詳しい情報は本プロジェクトのブログサイト http://www.fountainprojects.co.uk/sarahtse をご覧ください。