スティーブン G ローズは1977年テキサス州ヒューストンで生まれ、ルイジアナ州で育ち、現在はベルリンを拠点に様々な都市で勢力的に展覧会を開催しています。ローズはこれまでにマルチメディアなインスタレーションという形式を用い歴史的・文化的な素材を融合させた作品を発表しています。2009年にMISAKO& ROSENで開催した日本初個展ではディズニーの初の実写映画「南部の歌」(Song of South)を題材にした作品を発表しました。熊に扮した彼自身をディズニーの実写映画の物語に入り込ませ、スタンリー・キューブリックが映画化したスティーブン・キングの「シャイニング」からの音と映像をサンプリングや繋ぎ合わせといった触覚的な過程を経ることによって、結果として生じるインスタレーションが、もともとの素材に隠れていた二次的な意味や物語をさらけ出すというローズの試みを成功させているのです。日本で2度目となる個展でローズは、ある特定の人物を元に歴史的な物語に着目しています。これまで「Vacant Portrait」と題したポートレイト作品を発表してきました。このシリーズにおける肖像は、陰影のような画風により抽象化されています。このポートレイトシリーズの展開により今回の展覧会タイトルを「7 Bankers and A couple of Brokers unpack a library」と題し、ハンブルグの富裕なユダヤ人銀行家の一族のひとりアビ・モーリッツ・ヴァールブルク(Aby Moritz
Warburg)を題材にしています。今だ、銀行一族として存在するその富豪一族の歴史と物語を絵画13点と映像インスタレーションを通して発表いたします。