Sachiko M は1994年から即興奏家として着実なキャリアを積み、2004年に初めてインスタレーション作品”I'm Here"を発表しました。
この作品は演奏者が不在の音楽・音を構築する現場で、静寂の中に時折聞こえる正弦波やグリッチに段々と意識が向けられ、環境音とそれらの音が次第に一体になっていくとともに、その場の輪郭や特性、そこに堆積した時間までもが浮き彫りにされていく空間を創りだしました。また会場内に流れる音は、展示の為に作曲、録音された楽曲であり、音楽そのものを体験する作品とも言えます。
演奏とは異なる時間軸であるこの作品は、作家の耳と手を通して鮮やかに純化された時空間を新たな角度から切り取った、 Sachiko M のもう一つの表現として確立されたものとなりました。
それから年月を経て、静かにゆっくりと作品の制作を重ねながら深化を遂げてきた”I'm Here"が、シンガポールにて滞在制作を行い、”I'm Here -short stay-" として、2011年10月、最新作として、発表されました。