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[Image: Fragment ( Neck Ⅰ ) 2017 Charcoal on paper 45x55 cm Photograph by Masaki Ogawa]

ロマーン・カディロン 「Dawn Chorus」

Gallery 38
終了しました

アーティスト

ロマーン・カディロン
ロマーン・カディロンはフランスで生まれ、ベルギー・ブリュッセルの ENSAV La Cambreを卒業後、 2011 年よりフランス、ベルギー、ドイツと多数の国と地域で作品の発表しており、現在はギリシャ・ アテネを拠点に制作をしています。本展覧会で紹介される作品は、黒鉛、木炭、紙といった古典的な画材を用いています。しかし作家独自の制作方法や過程によって光と影を操ることで、見る者の価値観を根源から揺るがすような作品となっています。“Liminals”は、ロマーン作品に共通する”光と影”という主題への関心を最も体現したシリーズのように考え られます。金粉、シルバーグラファイト、テール・ド・カッセルを混ぜた顔料を画面の両端から何度も 紙の上に吹き付けることがこの作品の主な製作方法です。ここでは作家が顔料を吹く息が手の代わりと なって描き、神経を研ぎ澄ますことで繊細なモノクロのグラデーションが浮かび上がってきます。そこには三次元とも思わせるような奥行きと立体感が存在しています。画面上では、微細な黒炭の粒子がいまだ落ち着く場所を探しているかのように光の中で揺れ動くのと同時に、ホワイトアウトした時のよう な静謐な印象を鑑賞者に与えます。“Liminals”というタイトルは、民俗学者 Victor Turner によって作られた”Liminality”という、個人やグループ が既存の社会的規範や構造から離れ、また再統合するまでの過渡期における不安定な境界状態を指す言葉を語源としている。こうした不安定なリミナルな状態とは、同時に秩序のない混沌とした状況の中で、新たな再生の源泉となるエネルギーを発見するプロセスとも考えられます。”Liminals”の”多様なグラデーションや無数の光と影の表情は、白と黒、光と影、という二つの硬直的な位相(秩序)から解放されることによって生まれる自由なエネルギーを象徴しているのではないでしょうか。“Drawing for a Sculpture”のシリーズでは、作者はまずモデルの鋳型を作り、刻々と変わりゆく陽の光や強度を変えた照明の中で彫像と向き合いながら、その変化を写し取っていきます。またこの作品は主に指で描かれています。それにより作家自身の肉体と作品の間には強い結びつきが生まれ、日々丹念に観察される変化をより直感的に作品に反映することが可能となります。主題が光と影の中で様相を変えていく中で描かれる彫像の輪郭や質感は、はっきりとするよりも、より抽象的でありながら力強いものとなっていきます。こうして日々真摯に主題と向き合い、描き続ける中で生まれる一見写真とも見紛うほどの作品は、光と影の間のゆらぎの中に対象の複雑な多様性を捉えています。それは”Liminals”シリーズにも通ずる、単なる写実的な表現を超えたロマーン独自の視線を画面に表現しています。

スケジュール

2018年5月17日(木)〜2018年7月7日(土)

開館情報

時間
12:0019:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日
備考
日曜日・月曜日・祝日は休廊

オープニングパーティー 2018年5月17日(木) 17:00 から 20:00 まで

入場料無料
会場Gallery 38
http://www.gallery-38.com/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前2-30-28 原宿ホームズ101
アクセス東京メトロ副都心線北参道駅2番出口より徒歩6分、JR山手線原宿駅竹下口より徒歩8分
電話番号03-6721-1505
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