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[画像: Tammi Campbell, Campbell's Soup Can (Beef) with Bubble Wrap and Packing Tape 2021 Acrylic on canvas with wood frame 56.2 x 45.7 cm]

タミー・キャンベル 「Exactly Wrong」

MAKI
終了しました

アーティスト

タミー・キャンベル
この度MAKI Galleryでは、カナダを拠点に活動する作家タミー・キャンベルのアジアで初めての個展「Exactly Wrong」を、表参道と天王洲Iの2会場で同時開催いたします。本展は、フランク・ステラやエド・ルシェ、ヨゼフ・アルバース、そして今回で初登場となるアンディ・ウォーホルの代表作を再現した作品を含む30点近い新作を披露し、キャンベルのこれまでの活動を振り返る大規模な展示となります。キャンベルは、引用する名画の抽象表現におけるくっきりとした線や色彩の習作を暈すために、実際はアクリルポリマーを鋳込んで作ったハイパーリアルな気泡緩衝材や段ボールなどの偽の梱包材で、その作品を包んだり覆ったりするといった独自のタッチを施します。

本展のタイトルは、アンディ・ウォーホルの言葉 “When you do something exactly wrong, you always turn up something.(何かを的確に間違えると、いつも何かしら発見がある)”に由来しています。キャンベルにとってこの言葉は作品が完成した時、つまりʻ的確に間違っているʼ瞬間を意味しています。例えば気泡緩衝材が分厚く、それらしい空気感を全く感じられなかったり、段ボールが妙に薄かったり、OPPテープの横を通り過ぎても揺らがないことに気付いた時、それら一つ一つの素材が見慣れているものから全く見知らぬものへと突如変化します。それまでʻ正しいʼと思えていたものが、違和感を覚えた瞬間からʻ間違ったものʼとして認識されるのです。

キャンベルは本展をきっかけに初めてウォーホルを題材として迎え入れましたが、これは彼女の芸術実践における美術史的な焦点がモダニズムからポップアートへと移った証拠です。同時に、キャンベルによるʻ再現の手段と意味ʼについてのより深い考察の反映でもあり、ウォーホルや他のアーティストたちがそのテーマに取り組んできた歴史に対して彼女がどう応えているかを提示しています。そのため、本展の展示作品は半数近くウォーホル作品の再現で占められています。原作と同じ技法で描かれた「Small Torn Campbellʼs Soup Can (Pepper Pot) with Masking Tape」(2020年)では、破れたラベルに塗られた典型的な赤い絵具はキャンベルの作り出すマスキングテープの上を覆っており、そのマスキングテープは一部が剝がれかけています。一方で、より立体的な「Brillo Soap Pads Box Flattened」(2021年)は、キャンベル自身が開発した新しい鋳造法により、原作の形態を忠実に再現しています。キャンベルがこれまで、フランク・ステラの「ブラック・ペインティング」シリーズや、本展でも展示されるヨゼフ・アルバースの「正方形へのオマージュ」シリーズなど、各アーティストを代表する重要な作品やシリーズを取り扱ってきたことと同様に、商業的および文化的な社会意識のもと、ウォーホルの最も有名な作品をあえて選び、再現しているのです。

キャンベルは美術史に深く定着した白人男性アーティストの作品で本展を構成しました。このような美術史上の正典化は通常、数多くの美術館での展示や、様々な個人および公共コレクションによる所蔵、そして継続した学術的注目を前提としています。キャンベルがこれら作品を再現するために費やした膨大な時間と努力は、過去への敬意であると同時に、今までその作品のステータスを維持するために費やされてきたもの、いわば、まだ評価を受けていないアーティストたちに向けることができたはずの労力とも受け取ることができます。梱包材に覆われたキャンベルの作品たちは、最終形態だけでは一見それほど強いメッセージ性を感じられず、表面上は見事に再現されたトロンプルイユ(だまし絵)の一例に過ぎません。しかし、作品をよりよく見るとその錯覚は解けはじめ、輸送中のような一時的な状態に対して様々な疑問が浮かび上がります。いったい誰がこの作品を移送しており、これはどこへ向かっているのでしょうか? そして、最も重要かもしれない質問は、この作品が壁から外された時、どんな作品が代わりに展示されるのでしょうか?

スケジュール

2021年9月1日(水)〜2021年9月29日(水)

開館情報

時間
11:3019:00
休館日
月曜日、日曜日
展示期間以外は不定休
入場料無料
会場MAKI
https://www.makigallery.com/ja/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前4-11-11
アクセス東京メトロ銀座線・半蔵門線・千代田線表参道駅A2出口より徒歩2分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩6分、JR山手線原宿駅東口より徒歩10分
電話番号03-6434-7705
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