本展は、2008年の新作シリーズ「ピクチャー・オブ・ガベージ」を中心に、大空に雲を描いた「ピクチャー・オブ・クラウド」、ブルドーザーで大地にコンセントなどを描いた「ピクチャー・オブ・アースワーク」、ピグメン(色土)で描いたピカソの「泣く女」など、計40点を展示し、そのほとんどが日本初公開となります。ムニーズの作品の特徴のひとつは、作品を構成する素材にあります。砂糖(サンパウロの路上生活の子ども)、チョコレートシロップ(最後の晩餐)、ピーナッツバター(モナリザ)、金属片や枯れ葉(セルフポートレイト)といった一瞬しか形をとどめることができないものです。これらの素材は、視覚以外の味覚、臭覚、触覚に刺激を与え、描かれたイメージは、時に、見る者の体にしみ込んでくるようです。そして作品に近づいた観客の関心は、イメージ自体からそのイメージを構成する要素に移行し、この世の真と偽を体験します。このような身近にある素材を用い、一見絵画かと錯覚させる生々しい立体感とスケールで平面と立体が同時に成立する独自のスタイルは、90年代はじめに確立され、絵画とは、写真とはという問いを投げかけ続けています。
本展のハイライト作品は、「ピクチャー・オブ・ガベージ」のシリーズで、大量の生活ゴミを用いて描かれた、神話や歴史上の人物のポーズを引用した「アトラス」、「母と子」、「マラーの死」などの計7点で、この度、世界で初めて一同に公開されます。この一連の作品は、リオデジャネイロにある南米最大規模のゴミ処理場「ジャジン・グラマーショ(Jardim Gramacho)」で清掃・廃棄物収集などに従事する人々とのコラボレーションによって制作され、彼らは、作品のモデルをつとめ、バスケットボールコート2面分の大きさで描かれ撮影されました。このようにムニーズは、地球狭しと言わんばかりに、世界中で人々を巻き込みながらさまざまなプロジェクトを展開し、精力的に作品を作り続けています。知的で社会的な意図を含みながらもユーモアあふれるムニーズの作品の世界を、みなさまにご堪能いただければと存じます。この企画は、本年度よりTWSが始めている環境とアートの新しい課題をクリエイティブに考えるシリーズ「Agenda of Art」のひとつになります。
-ヴィック・ムニーズによるアーティスト・トーク
日時: 11月23日(日) 15:00~17:00
参加費: 無料
[画像: 「アトラス(ピクチャー オブ ガベージ)」 (2008) デジタルCプリント 229.83cm×180.34cm]
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