毒山凡太朗(1984)は福島県田村市に生まれ、震災と福島第一原子力発電所事故当時は東京でサラリーマンをしていましたが、アートに目覚め即辞職、その後、キュンチョメと同じく美学校の「天才ハイスクール」を修了したアーティストです。ある時は震災事故現場に、ある時はイルカとシーシェパードを追いかけて海へ、そして最近は経済産業省前のテント村内の「美術館」でテント村の再建築を提議するなど、意欲的に活動しています。彼は、「逃げたいのに逃げられない」人々の心理や現実的な状況を目前にし、逃避が不可能となっている状況や社会の同調圧力構造を真正面から受け止め、作品制作を展開しています。
5年半前、皆が同じ未曾有の震災を経験し、わたしたちの間で緩やかな連帯感が生まれました。しかし、手に手を取って助け合う、協力、絆、そんな言葉が上滑りするのをわたしたちは嫌という程体験してきました。その後求められているのは、多様なアフターです。
日本特異の気候変動や社会の閉塞感だけでなく、地球規模で断続的に続いている天災、エネルギー問題、経済の圧倒的格差、またテロへの恐怖と過剰な防衛や先制攻撃でいたちごっこを展開する五里霧中な政府やその政治は、わたしたち「個」とはまったく違う選択を続けています。様々なレイヤーで倫理や平和が大義名分でしかない現代、このアフターでは「個」として生きる判断力が求められています。わたしたち一人一人が、「個」としてそれぞれのアフターを切り開かなければならないのです。
そのためこの展覧会は、共時的体験を経た二組のアーティストが、交わることなくそれぞれのヴィジョンを見せる、という形を取りたいと考え、二つの個展の同時開催として企画されました。二組のアーティストたちが提示する、ヒューマニズム礼賛でも単なる社会批判でもない、ただただリアルなグルーヴとその渦中にさらされる個々の問いを、一緒に体験し、考えていただければと思います。
キュンチョメ「暗闇でこんにちは」を同時開催します。
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