今回の作品展は、Art Gallery M84の第84回目の展示として実施する個展です。タイトルの『Biblioscenery』は、作家による造語でビブリオシナリーと読み、古書の景色とでも言いましょうか、扱いを知らない人には絶対触れない超高価な古書で、古書店の店員で無かったら見ることも、触ることすら無かった何百年も前に出版された重厚な存在を自然な姿で造形的に撮影した貴重な作品です。
古書も現代のスピードで売買され、何時迄も古書店の棚にある訳ではない。図書館や博物館など公的機関に購入されれば、一般の人は手を触れることが出来なくなる。個人が購入すると、次の世代に引き取り手のない古書は廃棄されるかもしれない。それに、文書のデジタル化の流れの中で、本と言う形態が以前より軽んじられている気がする。本を題材に別な何かを語ろうとしている写真が多い中で、福岡は本や本の運命そのものに寄り添った作品を創ろうとしている。並んでいる背表紙、表紙のディテール、頁、印刷された文字、長年に渡って付けられた傷など、本自体に纏わるものだけを色々な角度から表現することによって、本が秘める物語に思いを馳せることになる作品は観る側の心を深く揺さぶる。
現代においては非日常な存在である古書が、かつて今とは違う世界があったことを私たちに語りかけてくる写真家・福岡陽子の作品をお楽しみください。約30点を展示します。
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