小山登美夫ギャラリー六本木この度小山登美夫ギャラリーでは、東南アジアの重要な現代アーティストの1人であるシュシ・スライマンの個展「赤道の伝承」を開催いたします。本展ではインスタレーション、立体、平面作品、文章など様々なアプローチでの新作を発表します。
本展のタイトル「赤道の伝承」にあるように、シュシは赤道が古代より神秘的なパワーを持ち、国境を超えたつながりを作り出すことに惹かれ、インスタレーション作品として提示します。
赤道とおぼしき線の周囲に、東南アジア各国の旧名をほどこしたバスケット、「オーガニックな」ビニール袋、天然ゴムで形どったPC、土で描かれた地図など。様々な組み合わせのオブジェが点在し、ロジカルなようで、ロジカルでないランダムなものの配置からは、予想しないエネルギーが発され、絡み合うようです。
また、「アートの保全」は2019年からのシュシの新しいアイディアです。今回、マレーシアの伝統技法で作られた手びねりの水壺「Labu Sayong(ラブー・サヨン)」を110個一堂に展示します。現在唯一この技法で制作ができる女性陶芸家Mak Nah(マク・ナー)の、自然と対話し、作品に魂を宿すような、リラックスした瞑想的な制作風景の映像も流し、「Labu Sayong」の売り上げは「Labu Sayong」美術館設立の資金に充てることも計画されています。
以前から古いもの、アーカイブへの興味を持ち、「昔の動向を知り、自分の手で何かしらの還元をしたい」と願っていたシュシにとって、この展示は文化と伝統を融合させる、社会的な新しいコミュニケーションの仕組みであり、アートの力でより実践的に人々を救いたいという強い思いが込められています。
またマレーシアの伝統では、自分と周囲の事物との深いつながりを見出すために、動物や植物に語りかけるように教えられており、ものに宿るエネルギーの力が信じられています。現代忘れられがちな自然との関係を私たちに思い出させてくれるでしょう。
コロナ禍においてクローズした意識を開いてくれる、シュシの最新の世界観を堪能しに、ぜひお越し下さい。
※本展示は「ART WEEK TOKYO」に参加しています。