2021年に、荻生徂徠(おぎゅうそらい)のご子孫である荻生茂樹(おぎゅうしげき)氏・庄子妙子(しょうじたえこ)氏より、荻生家に伝わる貴重資料が駒場図書館に寄贈されました。本展は寄贈を記念して、荻生家旧蔵の徂徠関連資料を紹介するものです。
荻生徂徠(1666~1728)は、江戸時代を代表する儒学者であり、朱子学や仁齋学を批判して、独自の学問体系―いわゆる徂徠学―を構築したことで知られています。18世紀に徂徠学は大流行し、その影響はあらゆる学術領域に及びました。徂徠は「冒険」好きの人でした。彼の書いた旅行記である『風流使者記(ふうりゅうししゃき)』には、周囲の制止をふりきって好奇心の赴くままに難所を探検する自身の姿が描かれています。実際の「冒険」だけでなく、知的な「冒険」にも徂徠は熱心でした。儒学以外にも、文学・唐話学・音楽・兵学と様々な領域に徂徠は大きな足跡を残しています。
文学についていえば、徂徠は、明代の李攀龍(りはんりょう)・王世貞(おうせいてい)の詩文を模範に掲げて当時の漢文学を一変させました。また、古典中国語(漢文)だけでなく、当時の中国語(唐話)にも関心を持ち、「訳社」という研究会を開いてその習得に励みました。音楽にも一家言を有し、現存する最古の琴譜『碣石調幽蘭第五(けっせきちょうゆうらんだいご)』の価値に気づいたのも徂徠です。兵学に関しては、『孫子』『呉子』の注釈書を著すだけでなく、独自ルールの将棋まで作っています。
荻生家史料の徂徠自筆資料などを通じて、学術の世界を縦横無尽に駆け抜けた荻生徂徠の「冒険」に興味を持って下さればと思います
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