[Photo: Agata Słowak, Your Own Personal (detail), 2023; Aleksandra Waliszewska, Untitled, 2023]

アガタ・ スウォヴァク + アレクサンドラ・ ヴァリシェフスカ 「A Marriage of Heaven and Hell(天国と地獄の結婚)」

BLUM
残り4日

アーティスト

アガタ・ スウォヴァク、アレクサンドラ・ ヴァリシェフスカ
BLUM東京は、2024年3月23日より、アガタ・スウォヴァクとアレクサンドラ・ヴァリシェフスカの初個展を開催いたします。キュレーターのアリソン・M・ジンジャラスが企画する本展は、両作家とってアジア初の展覧会となります。

ウィリアム・ブレイクの幻視詩のタイトルを引用した本展は、黙示録的なイメージに彩られ、人間の様相についてのラディカルな喚起を連想する絵画を描く2人の作家の作品同士の隠喩的な「結婚」を表しています。善と悪の対立に関する既成概念やその切り離すことのできない関係性の称賛に疑問を投げかけたブレイクと共鳴するように、スウォヴァクとヴァリシェフスカは、非常に象徴的なシナリオを導く強い女性の登場人物を前面に押し出し、超越的な視覚的物語を生み出しています。そのヒロインたちはまるで善悪のない御伽噺の中に閉じ込められたように、セックスと死、愛と不安、反発と欲望といった、相反する衝動の間に描き留められています。ブレイク自身が詩の挿絵のために描いた鮮やかな版画や数々のオールドマスターの図像に見られるような、擬人化的性質を帯びた動物や怪物のイメージもまた作品中に登場します。

動物と人間超自然的な関係性は、両作家の作品世界に示唆され、ウィリアム・ブレイクの神秘主義や道徳的階層の逆転、想像力の解放と共鳴しています。ヴァリシェフスカの絵画では、白馬が繰り返し登場し、異種間の交流の場面や、シュールで象徴的な場面が描かれています。例えば、本展で登場する絵画作品の一つでは、優雅な灰色の牝馬と金髪の女性が一緒に佇み、異種の交わりの官能的な瞬間が描かれています。ある作品では、異質な雰囲気をまとったピンク色の海で溺れる白馬、そしてそれを見つめる上空に浮かぶ充血した二つの目を捉えています。これは、ブレイクの詩「無垢の予兆」からの一節と共鳴しています。

路上で酷使された馬は、
人間の血を求めて天国へ呼びかける

また、別の絵画作品では、前景には性別のない黄色い何かが、胎児の姿勢でしゃがみこむ姿が描かれています。それは、果たして、人間でしょうか?幽霊でしょうか?エイリアンでしょうか?背景には、不毛な地に異世界的な光景が広がり、そこには白い馬の群れを見ることができます。これらのシーンは、人間と動物の王国のいわゆる「自然な秩序」を覆し、美術史的に言えば、ヒエロニムス・ボスからウィリアム・ブレイク、フランツ・フォン・シュトゥックまでの幻想的な世紀末の芸術家たちとヴァリシェフスカを関連づけます。

スウォヴァクも同様に、象徴的な動物のイコノグラフィを多く活用していますが、それらの喚起的イメージはしばしば伝統的なカトリックとして育った自身のルーツに根ざしています。「There’s a Fckn Goats Outside」(2023年) では、作家自身と見られる登場人物が風景の中でしゃがみこみ、子羊を抱いています。これはキリスト、神の子羊の表象的な置き換えです。背景の緑豊かな畑には、後ろ足で立つ一群の黒ヤギに囲まれています。これは古代のサタンの象徴を表しています。この寓意的なシーンは、善と悪との闘いや、キリスト教と異教の信仰の対立を描いています。ブレイクの象徴的な詩「地獄のことわざ」では、従来の道徳に疑問を呈する彼の願望を表すイメージを提示しています。

監獄は法の石で建てられ、
娼婦宿は神の煉瓦で、できている。
孔雀の傲慢は神の栄光。
山羊の性欲は神のお恵み。

スウォヴァクの絵画も同様に、善と悪の象徴的な召喚に疑問を投げかけています。彼女は「私は無垢の死の雰囲気を作り出したかった…絵画中には、黒い山羊が狂乱の如く囃し立てるかのように見えます。これは、アーティストから個性を奪い取りたいと切望し、象徴的な資本やお金を求める人々のメタファーです。」と説明しています。アイデンティティと犠牲は「Autoportret z jakimś ścierwem / Autoportrait with Some Carcass」(2023年) においても饒舌に描かれています。本作品では、スウォヴァクが広げられた死んだ猫の横でポーズをとっています。絵画中の血で汚れた裸の姿で描かれた作家の視線は鑑賞者へと向けられます。その猫は何かしらの儀式によって殺され、それは、異教的な実践、あるいは過激なパフォーマンスアートを特徴とした20世紀後半の芸術動向ウィーン行動主義のようにキリストを嘲笑うように十字架にかけられた動物でしょうか?スウォヴァクは、茨の冠を被り、血の川を流す金髪で長髪の女性の不穏な肖像画「Your Own Personal」(2023年) でも伝統的なキリスト教の象徴を挑発的に展開しています。キリストの性別が入れ替わった時、それは天国と呼べるでしょうか、それとも地獄となるのでしょうか?

ワルシャワを拠点に活動する二人の作家は、世代は違えども、美術史に対する造詣の深さと、具象絵画や伝統的な技法への深いこだわりを活動の基盤としています。本展では、両作家による油彩画の新作群に加え、ヴァリシェフスカによるグアッシュの紙作品を展示いたします。

スケジュール

開催中

2024年3月23日(土)〜2024年5月2日(木)あと4日

開館情報

時間
12:0018:00
休館日
月曜日、日曜日、祝日

オープニングパーティー 2024年3月23日(土) 17:00 から 19:00 まで

入場料無料
展覧会URLhttps://blum-gallery.com/exhibitions/a_marriage_of_heaven_and_hell
会場BLUM
https://blum-gallery.com/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-14-34 原宿神宮の森 5F
アクセスJR山手線原宿駅竹下口より徒歩1分、東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅2番出口より徒歩2分
電話番号03-3475-1631 
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