Alicja Kwade Tunnel-Tell (Ceci Sera Persicum) (detail) 2026 © Alicja Kwade, courtesy Pace Gallery

アリシア・クワデ 「La Pêche miraculeuse」

Pace 東京

#インスタレーション

10月29日開始
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アーティスト

アリシア・クワデ
Pace東京では、2026年10月29日から12月25日まで、アリシア・クワデの新作を発表する展覧会「La Pêche miraculeuse」を開催いたします。今回のために構想された、大小さまざまな彫刻を配したインスタレーションに加え、紙の作品が展示される本展では、物と物との間や内側に存在する、普段は意識されない、目には見えない空間へと見る者を誘います。クワデのこれまでの制作と同様に、本展では、現実そのものと向き合いながら、直接的な知覚から逃れ、五感だけでは完全に捉えることのできないあらゆるものを探究します。空虚、光、時間そのものが彫刻として立ち現れる一方で、物はその姿を通して、それらを目に見えるものとして示します。本展では、物と物の間に生じる移り変わり、それらが現れ、消え行く瞬間、そして私たちが世界を理解し、思考を巡らせるためのさまざまな手立てに焦点を当てます。ここでクワデは、曖昧さや、意味と知覚に生じる微妙なずれを巧みに操り、そこに常にさりげないユーモアを吹き込みます。こうした「ずれ」は、展覧会タイトルにすでに見て取れます。「La Pêche miraculeuse」とは、コンラート・ヴィッツが1444年に描いた《The Miraculous Draught of Fishes》(奇跡の漁り)に由来するものです。なんの変哲もない風景が、現実の場所と時間を超越した物語が交錯するかのように、ここでは奇跡の舞台になるのです。

また、クワデはこの文脈をずらすという手法を、言葉の領域でも展開します。フランス語の「pêche」という言葉には、「漁」と「桃」という二つの意味があります。この二重の意味を介して、美術史的な参照が日常の世界へと傾いていきます。この言葉に込められた「獲物を捕まえる」という意味は、自分が思い描いていた予想が露呈するような瞬間、つまり「自分が捕らえられてしまう」感覚を呼び覚まします。ヴィッツの絵画と同様、見慣れたものは、なお見慣れたものとして目に映りながら、その確かさが失われ、また別の知覚のあり方へと開かれていきます。クワデの新しい彫刻作品は、こうしたずれをさまざまな形で取り上げます。《PersicumMultiplex》と《PersicumAdustum》と題された、複数の溝が刻まれた桃や、火の消えたタバコが突き刺さった桃は、美しさと嫌悪感の狭間を行き来します。一方、プロセスを基盤とした《Idem Aliter》は、3つ、5つ、7つ、そして最後には10の要素からなる複数のバージョンを通して展開される彫刻群です。それぞれのバージョンにおいて、同じ石がガラスや大理石など、異なる素材で表現されています。こうした素材が、鏡によって隔てられ、同時に繋がれていきます。目に見えない変容そのものが彫刻を決定づける特徴となるのです。作品は空間の中で要素を一つずつ加えながら発展し、最終的には10月31日から11月1日まで開催される「六本木アートナイト」期間中に、森美術館の前で完成形に至ります。その後、本作はPace東京の屋外テラスに設置されます。このラテン語のタイトルは、おおまかには「同じもの、別様に」を意味します。ある物体が異なる物質的状態や反射を通りながら、常に同じ、始まりの物体との繋がりを持ち続けます。そこには、物体、イメージ、そして変容の境界が次第に曖昧になっていく、時間の流れが立ち現れます。

また、トンネルをモチーフとした一連の彫刻作品《Tunnel-Tell (Ceci Sera)》と《Tunnel-Tell (Ceci Sera Persicum)》は、反射という現象の本質をさらに探究するものです。いずれの作品においても、内側に鏡面仕上げを施したステンレス製の管が花崗岩の塊を貫通しています。作品を形づくる素材ではなく、管の内部に広がる空洞そのものが作品の真の、本質的な構成要素なのです。管の内側の空間は反射され、凝縮され、歪められ、鑑賞者はその歪みの中に自らの姿を見ることになります。その視覚的効果は、まるでブラックホールのようで、そこに引き込まれたあらゆる物質を溶解し、純粋な時間——あるいは物質を超えた何か——に凝縮します。《Tunnel-Tell (Ceci Sera Persicum)》の作品において渦に引き込まれるのは、桃です。それは、世界に存在するすべての物、そして私たちが知覚するすべての物を象徴する、思いがけず日常的な物体なのです。

さらに、《Tunnel-Tell》シリーズと同素材で作られた《Strange Attractor》シリーズから、2点の彫刻を紹介します。これらの作品では、自然のままの巨石が積み上げられ、柱を形づくります。先が細くなった、磨き上げられたステンレス製の要素が巨石を繋ぎ、その漏斗のような形状は砂時計を想起させます。これらの要素は石同士の間隔を保ちながら、同時にそれらを圧縮しているかのようにも見えます。そのため、漏斗は創造と破壊の機械のように機能します。実際のプロセスは目に見えるものではなく、作品のフォルムに内包されています。石は何かに導かれているように見えますが、それは作品の中で時間が操作され、引き伸ばされていくような感覚にも通じます。実際、クワデの作品において、時間は可変性のある素材のように立ち現れます。《Aperture Ø508》と題された紙作品のシリーズでは、積み重なった時間が、時計の針が紡ぐ円形の星座へと凝縮されていきます。一方、《Gegen den Lauf》dは、動いている壁時計を素材とした彫刻で、その文字盤は秒針とは逆方向に回転していきます。ここでは、前進と逆行が同時に起きているのです。本展の作品はいずれも、確かなものが不確かなものに転じ始める瞬間に私たちの意識を向けます。石がイメージとなり、時間の長さが空間的なフォルムを形づくり、そして桃が見慣れない身体へと変容していく。物と物の間にあるものは、目に見えないまま、私たちがそれをどう見るかを決定づけるのです。

なお、「La Pêche miraculeuse」の会期中にあたる11月4日から8日まで、東京各所のギャラリーや文化施設を結ぶ都市型アートイベント「Art Week Tokyo」が開催されます。期間中は、Paceが入る麻布台ヒルズギャラリーを含む参加会場を結ぶバスが運行されます。

スケジュール

2026年10月29日(木)〜2026年12月25日(金)

開館情報

時間
11:00 〜 20:00
休館日
月曜日

オープニングパーティー 2026年10月29日(木) 16:00 から 19:00 まで

観覧料無料
会場Pace 東京
https://www.pacegallery.com/
住所〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 1F, 2F
アクセス東京メトロ日比谷線神谷町駅2番出口より徒歩3分、東京メトロ南北線六本木一丁目駅2番出口より徒歩8分

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