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[画像: チームラボ Matter is Void 2022 courtesy of the artist]

「超複製技術時代の芸術:NFTはアートの何を変えるのか?——分有、アウラ、超国家的権力——」

GYRE GALLERY
終了しました

アーティスト

ダミアン・ハースト、ラファエル・ローゼンダール、ルー・ヤン、ロバート・アリス、レア・メイヤース、高尾俊介(Generativemasks)、チームラボ、ソル・ルウィット、セス・ジーゲローブ、森万里子、藤幡正樹、施井泰平、鎌谷徹太郎
2021年3月、アメリカの競売会社クリスティーズが主催するアートオークションで、インターネット上の1枚の画像が75億円で落札された。デジタルアート史上最高額にして、現代アート現存の歴代作家第3位を記録した事件を2200万人がオンライン上で目撃し、世界を席巻するNFTブームが到来した。NFTとは何か。その可能性については当事者たちも含めて未知数にもかかわらず、NFTは未来を試す試金石のようなものとして従来の芸術を信じてきた人々の心を揺さぶっている。

NFTは「non-fungible token」の頭文字をとったもので、デジタルデータを、オンライン上の完全に独立した固有の価値がある資産として流通させるものであり、ブロックチェーン技術によるデジタルな「オリジナル」の証明システムである。現在、この改変不可能な暗号技術は、オンライン上にあるあらゆる非物質的な情報に所有権を付与し資産化するものとして活用・認知されるようになっているが、その起源のひとつは、2014年5月にニューヨークの芸術家ジェニファー&ケヴィン・マッコイが生み出した作品「Quantum」に遡る。それは投機のためではなく、誕生、死、そして再生を表現するための抽象的な芸術作品のコードとしてNFTが生まれたことを意味する。アーティストが「monetized graphics(収益化された画像)」と呼んだ芸術の実験的な意図を超えて、デジタルな複製物に物理空間の特権であった「唯一性」が人工的に与えられ、web2.0が創り出してきたインターネット上の有象無象の公共財はグローバル資本主義の市場へ一挙に変貌したが、本展ではその実験性へ立ち還ることを試みる。

20世紀を代表する哲学者のひとりであるヴァルター・ベンヤミンは、複製技術が普及する近代以前の時代を考察し、複製不可能な芸術が持っていた「いま、ここにしかない」という「1回性」や「礼拝的価値」を「アウラ」と呼び、映画や写真が芸術の「1回性」を喪失させ、芸術そのものが世俗化していくことを肯定した。しかし、NFTの登場は、複製技術が「1回性」をもつという状況を生み出し、ベンヤミンが20世紀の芸術の命題として提示した「アウラ」の問題を根幹から更新しようとしている。

この展覧会では、NFT(偽造・改竄不可能なデジタル証明書)を用いた芸術的実験に焦点を当て、「分有」「シミュラクラのアウラ」「超国家的権力」という3章構成で紹介する。それぞれの主題は、「所有・契約」、「制作」、「展示」という作品の前提条件とも呼応し、20世紀の美術史に連なるもの(特にコンセプチュアルアートの論理的帰結)として2014年以降の約10年間に制作されたNFTアートを位置付ける。20年代の始まりに起きた空前のNFTアートバブルは、仮想通貨の盛り上がりとともに瞬間的な暴騰の後、あっという間に崩壊した。しかし、NFTは芸術を投機的な金融商品に変えるものに過ぎないのだろうか?あるいは、既存の社会や芸術のルールを破壊し、表現の解放をもたらし、新たな歴史を描き出すものになり得るのだろうか?オンラインとオフラインで展開されるこの展覧会と関連出版物は、NFTが生み出す新しい意味と価値のシステムについての問題を提起し、未曾有の情報環境において現代のアーティストが果たす役割を検証・再定義し、私たちの生活の現実と、そこから形作られる精神と文化に、仮想空間が及ぼす影響について模索する。

スケジュール

2023年3月24日(金)〜2023年5月21日(日)

開館情報

時間
11:0020:00
入場料無料
展覧会URLhttps://gyre-omotesando.com/artandgallery/nft-art/
会場GYRE GALLERY
https://gyre-omotesando.com/art/
住所〒150-0001 東京都渋谷区神宮前5-10-1 GYRE 3F
アクセス東京メトロ千代田線・副都心線明治神宮前駅5番出口より徒歩4分、東京メトロ半蔵門線・千代田線・銀座線表参道駅A1出口より徒歩5分、JR原宿駅表参道口より徒歩6分
電話番号03-3498-6990
関連画像

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