DEN Gallery(東京・東中野)は、国際的に高い評価を得ているアーティスト Aya Kakeda(アヤ・カケダ)の個展『はじまりだらけ』を、同ギャラリー最後の展覧会として開催する。本展では、想像から立ち上がる独自のイメージ世界を軸に、異文化の中で視覚表現を探求してきたAya Kakedaの近年の陶芸作品を中心に紹介する。書籍、プロダクト、雑誌、ポスター、店舗インスタレーションなど、世界各国のクライアントからの依頼を受け制作してきた経験を背景に、内面の揺らぎや社会の変化、人生の転機といったテーマを、多様な素材と表現手法によって具現化してきた。
陶芸作品では、絵の中に息づいているキャラクターや物語が、土という素材を通して立体として立ち現れる。手によって形づくられ、火によって焼かれた存在は、幻想の気配を現実の空間へと呼び込み、平面に広がっていた心象風景に三次元の重みと存在感をもたらす。パンデミック下のニューヨークで制作された作品群では、社会的混乱の中で渦巻く感情を陶芸とガラスによって表現し、流動性と脆さ、静止と動きの対比を探求した。帰国後のシリーズでは、異国で育まれたキャラクターを日本の土と釉薬で造形し、アイデンティティの揺らぎや新たな視点を提示している。さらに近年は出産を契機に、母性の目覚めや身体の変化、時間の感覚と向き合いながら、「老い」「共生」「時間」「母とは何か」といった根源的な問いを主題に制作を続けている。
タイトル『はじまりだらけ』には、人生の節目ごとに訪れる新たな感覚や物語の芽生えを受け入れながら前へ進む視点が込められている。Aya Kakedaによる幻想的なまなざしと、個性豊かなキャラクターたちの息づかいに満ちた世界を、ぜひ会場で体感してほしい。
DEN Galleryは、ニューヨークでギャラリー活動を行っていたランドルフ・デンによって設立され、多様なアーティストを支援してきた。本展はその活動を締めくくる最後の展覧会となる。これまでギャラリーに関わってきたアーティストや来場者にも足を運んでもらい、この締めくくりの時間がそれぞれの新たな創造や出会いへとつながる「はじまり」となることを願っている。
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