写真はその誕生以来、時間、そして一瞬をとどめる行為と深く結びついてきました。しかし、情報やイメージが絶え間なく行き交う現代社会において、あらためて「見る」という行為に立ち返り、光と影、静止と運動のあいだに生まれる静かな時間に目を向けます。
『静寂の輪郭』というタイトルには、音と沈黙、形と余白のあいだに漂う繊細な境界へのまなざしが込められています。ここでいう「輪郭」とは、単に対象の形を縁取る境界にとどまらず、東アジアの美意識においては、周囲の「空」や「間」との関係のなかで立ち現れる、存在のあり方を指しています。本展では、「余白の瞬間」「静寂の輪郭」「息づかいの回帰」という3つの章を軸に空間を構築します。陳が長年にわたり制作を続けてきた4つのシリーズ――山水や雲海を精神的な場へと昇華させる「天地の間」、時間の痕跡や残像を捉える「静律」、植物の成長の軌跡を自然の書として読み解く「木々の直感」、そして雪原のミニマルな美と生命の芽吹きを描く「雪韻と生命力」――から、モノクロームを中心とした作品を厳選して展示いたします。異なるシリーズの作品同士が静かに響き合うことで、東京展ならではの新たな視覚的物語が生ま出します。光と影、黒と白、そして余白によって構成される静かな画面。そこには、移ろいゆく自然の姿と、時間の流れが静かに刻まれています。
本展を通して、日々の喧騒から少し離れ、目の前の風景と静かに向き合うひとときを感じていただければ幸いです。
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