豊かな湧水に恵まれた走水は、都市化が進んだ東京湾岸にあって、海と山とがつながる三浦半島本来の地形の記憶を残す希少な場所です。古事記や日本書紀にその地名が刻まれているように、この地には古くから、海とともにある人のいとなみがありました。 「水源」とは、水が湧き出る場所をさします。 しかし、水は突然そこに現れるのではありません。海から蒸発した水が雲となり雨となって大地に降り注ぎ、地中に浸透した水は長い時間をかけて地層の裂け目を巡るなかで磨かれ、やがて清らかな水となって地上に湧き出ます。そして湧き出た水は人々の暮らしを支え、再び海へと還っていきます。 「水源」とは、目には見えない循環や蓄積が重なり、新たな流れとして姿を現す場所でもあります。 「走水水源地2026」は、かつて「海に一番近い小学校」として親しまれてきた旧走水小学校を舞台に、地域を中心としたイベント「Through the Water 2026 Autumn」(主催:Through the Water 実行委員会)と連動して開催します。展示、ワークショップ、シンポジウムを通して、走水という土地に流れてきた文化の水脈をたどるとともに、人々が土地と出会い、対話し、未来を思い描く場をひらいていく、その最初の流れをつくる試みでもあります。 この土地から海を望むことは、ひとつの風景を見ることにとどまりません。近景から遠景へ、現在から過去、そして未来へ、この世界のすべてが、そこに連なっています。
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