日比谷公園は120年前、大名屋敷から日本初の近代的洋風公園として開園し、東京の真ん中で近代化へと加速する都市の時間に隣り合いながら、ここにしかない時間を刻んできました。公園は都市の中で私たちの身体が持つ本来の「時間」を取り戻すための場所です。陽の移ろい、木々の成長、咲く花に象徴される季節の巡り。私たちはそこに流れる時を確認し、自らの居場所を見出します。常に細胞が生まれ変わり続けている私たちの身体もまた、長い時間の流れの中でその一瞬に存在している現象といえます。本企画「Timeless Phenomena」では、私たちが日々縛られている「時計の時間」が無効化され、アートが都市の中で自然と人間の共鳴を生み出し、本来の身体感覚と時間を取り戻すきっかけとなります。
今回の参加作家による作品は現象として立ち現れ、身体に直接語りかける作品という部分で共通しています。それぞれの作品はあるべき場所に点在し、来場者は公園を歩き回るにつれて出会うことになります。花もまた、単なる装飾ではなく、人間、植物、虫や鳥、そして季節の時間を媒介する存在として現れます。作品に出会ったあと、公園の木々や鳥の声、足元の草花、すれ違う人々のふるまいは、少し違ったものとして感じられるかもしれません。もともとそこにあったはずの関係や気配が、作品を通して輪郭を持ちはじめます。見慣れた風景の中に、これまで意識してこなかった時間や営みが重なっていることに気づく。そのとき日比谷公園は、単なる都市の余白ではなく、さまざまな存在がそれぞれの時間を生きる場所として立ち上がります。
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