このたび、ふげん社は、2026年11月6日(金)から11月29日(日)まで、公文健太郎個展「土は静かである」を開催いたします。本展に合わせ、同名写真集がふげん社より刊行されます。公文健太郎は、1981年兵庫県生まれの写真家です。公文は、2011年に東日本大震災の被災地を訪れ、かつてその地で営まれていた風景を知らないという事実に衝撃を受けました。そのことをきっかけに取材の軸足を海外から国内に移し、日本各地の農業や漁業など第一次産業に従事する人々の生活を丹念に取材してきました。それらの成果は『耕す人』(2016)『地が紡ぐ』(2019)『暦川』(2019)『光の地形』(2020)『NEMURUSHIMA』(2022)などの写真集や写真展を通して現在までコンスタントに発表されています。その精力的な活動が評価され、2024年に日本写真協会賞作家賞を受賞しました。15年にわたって日本全国の「農」の風景を取材してきた公文の集大成となる一冊の写真集『土は静かである』が、このたびふげん社から上梓されます。本展では、写真集に収録される261点の中から15点を展示いたします。
農業は、高度資本主義社会の現代においても、人が食物を得るために必要不可欠な自然との接点であることに変わりはありません。それは、何世代にもわたって土地を受け継ぎながら、絶え間ない労働と技術と創意工夫によって、いにしえから人間が自然と相対して作り上げてきた風景です。公文は、その人と自然とが共同して作り上げてきた農の風景に「静けさ」を見出しました。美しく整地された畝の曲線、年季の入った道具類、逆光のビニールハウス、手入れされた花壇、団欒から漏れる一筋の灯り。フィルムカメラによって陰影豊かに描き出される風景は、そこに堆積した時間の層までも写しとるかのようです。私たちの遺伝子に刻まれた、これまでもこの先も大きく変わらないように見えるその景色は、強い郷愁の念を呼び起こすと同時に、はるか未来からの手紙でもあるようにも思えます。現代の異常気象や度重なる災害は、田畑が荒れ、食料が枯渇する未来を想像せざるを得ませんが、人間が地球を離れるその日まで続くであろう農の営みによって紡がれる景色は、「人間がこの地上に存在する確かな証拠」であると作家は話します。静謐な写真に写しこまれた、土、植物、人、動物、道具、光、闇が、声なき声で雄弁に語る様を、ぜひご覧いただければ幸いです。
会期中には、写真家の村越としやさんをゲストにお招きして、ギャラリートークを開催します。
[関連イベント]
1. ギャラリートーク
日時: 2026年11月21日14:00〜15:30
登壇者: 公文健太郎、村越としや(写真家)
会場: ふげん社(会場観覧・オンライン配信)
料金: 1200円(要予約)
2. ギャラリーガイドツアー
日時: 2026年11月29日14:00〜14:30
登壇者: 公文健太郎、ギャラリーディレクター
会場: ふげん社
料金: 無料(事前申込み不要)
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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