GALLERY KTO 原宿では、高野マナブの個展「ウサギ、月は月でも月」が開催されている。
高野は、一般に「フィジカル」と呼ばれる質量をもつ絵画に加えて、NFTに代表される「バーチャル」の作品も制作するアーティストだ。今回の個展では、前者が出品されている。
近年の高野の作品には、ほとんど決まって、アイコニックなウサギが登場する。光に満ちた空間を想起させる濃い黄色を背景に、ウサギは登場する。
さて、この動物をかたどる黒く細い輪郭線の中には、比較的小さな白いドットが隙間なく配置されている。白いドットの下層には黒い色面が確認され、ウサギの表面に深みが感じられる。
チャーミングでありながら、どこか空虚な印象をあたえるその目は、先ほどの黒い色面の塗り残しによって、巧みに表現されている。
さらにウサギは、亀や蝶、さらに犬とともに登場することもある。ここで興味深いのは、各動物が異なるタッチで描き出されていることだ。
亀の甲羅には絶妙なグラデーション、蝶の羽にはマットな質感、そして犬にはデジタル画像のようなフラットさが見て取れる。同じ世界を共有していないような印象を与える各動物が同居し、互いに接触しているのだ。
ここには背景の色彩によっても暗示されていた希望が感じ取られる。日本にとどまらず、グローバルなアートシーンでも注目を集める高野は、異なる世界との交流を、ウサギに代表される動物によって描き出そうとしているのではないだろうか。そもそもこの交流は、高野という人間が、これほどまでに、ウサギという他の動物を描き続けることに示唆されていよう。
緻密なドットの配置や熟練された色面の塗りには収まらない、高野マナブの絵画世界を、是非ご覧いただきたい。
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