アーティスト
比嘉康雄、比嘉豊光、村山友江、山城吉徳
島クトゥバで語られた沖縄戦《島クトゥバで語る戦世》は、写真家の比嘉康雄・比嘉豊光、郷土史家の村山友江、山城吉徳らによって結成された「琉球弧を記録する会」が、1997年から2008年にかけて沖縄各地で記録した、沖縄戦体験者たちの証言映像である。琉球弧を記録する会は、1997年の発足直後より、沖縄戦体験者に戦時下の日常語で母語でもあった「島クトゥバ」で戦争体験を語ってもらい、その様子をビデオカメラに撮り続けてきた。かつては日本本土への同化のために「標準語(ヤマトグチ)」への矯正が強いられ、沖縄戦の最中には「間諜(スパイ)」の言葉とさえみなされた歴史をもつ「島クトゥバ」──。琉球弧を記録する会は、沖縄戦体験者たちにあえてその生まれ育った「島(故郷)」の言葉で「戦世」を語ってもらうことで、その言葉と歴史を共有する間がらでしか語り得なかったであろう、沖縄戦の記憶をあざやかによみがえらせてきた。
《島クトゥバで語る戦世》は、沖縄戦の記憶を語られた言葉のみならず、それを語る人間の表情や声、身ぶり、そして沈黙の瞬間までもすべて記録しようとする〈映像〉の運動であり、また沖縄戦の記憶を「島クトゥバ」を聴き取ることのできない非体験者に向けて伝えなおそうとする〈翻訳〉の運動でもあった。琉球弧を記録する会がビデオカメラを回した800人を超える体験者のなかには、戦後50年を経て沖縄戦を初めて語ったという者も少なくなく、またそれが生涯で最後の証言となった者もいる。「沖縄が戦場となるとき、何が人びとの身に起きるのか」。《島クトゥバで語る戦世》に語られた無数の声は、いまなお誰かに聴き届けられることを待ち続けているはずだ。
本展では、これまで沖縄県外ではほとんど上映されてこなかった、琉球弧を記録する会の一連の映像作品を上映する。上映作品としては、琉球弧を記録する会の結成のきっかけとなった《50年目の証言》(1997年)から、2003年の山形国際ドキュメンタリー映画祭に出品されて反響を呼んだ《島クトゥバで語る戦世》(2003年)、戦後60年企画「島クトゥバで語る戦世─500人の記憶─」(2005年)から生まれた《チビチリガマ・シムクガマの記憶》《糸満編》《南風原編》《やんばる編》《伊江島編》《愛楽園編》などの各作品、そして2026年にベルリンで公開された最新作《しまくとぅばで語る戦世──沖縄戦81年》まで約20作品を公開する。本展が、沖縄戦を生きた一人ひとりの記憶と向き合い、無数の声が聴き届けられる場となることを願っている。
[関連イベント]
1. 上映トークイベント「《島クトゥバで語る戦世》を思想化する」
日時: 2026年11月21日13:30〜
登壇者: 比嘉豊光(写真家・琉球弧を記録する会)、遠藤水城(インディペンデントキュレーター)
料金: 無料(事前予約不要、定員各回30名、先着順)
2. 上映トークイベント「〈映像〉のなかの沖縄戦──記憶の身体化をめぐって」
日時: 2026年11月28日13:30〜
登壇者: 福地リコ(映画制作者・ライター)、長谷川新(インディペンデントキュレーター)
料金: 無料(事前予約不要、定員各回30名、先着順)
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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