ウラサキミキオは自身が日々眼にしている風景や事物などを描く作家です。けれども彼は、実際に見えているとおりがこの世界の真実なのではないと考えています。目に見えているものとは、実は私たちが生きている間に経験によって積み上げた「ものの見方」なのであり「もの、そのもの」ではないからです。しかしその「ものの見方」にも裂け目が生じ、向こう側が姿を現したと感じる瞬間があります。それを彼は「窓が開かれる」と言い表します。しかしその窓は、向こう側を確かめる間も無く閉じてしまうとも。この不思議な感覚を、どのようにすれば絵画で表現し得るのか。
この問いは、言い換えれば「リアル」とは何かという問題です。我々が現実と捉えている「こちら側の世界」と同じように「向こう側の世界」もまた、意識が作りあげた「ものの見方」ではないか。つまりどちらも意識が作り上げた幻影であることに変わりはない。では人間にとって「リアル」は存在しないのか?・・・ウラサキは「こちら側の世界」と「向こう側の世界」、そのどちらもが幻影だったとしても、その二つの間を「窓」を通して往復せざるを得ない意識の運動こそが「リアル」なのだと考えます。つまりウラサキにとって絵画とは、その意識の往復運動そのものをいかにして表現しうるのか、絵画はいかにして本当の意味で「窓」たりうるのか、という探求なのです。
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