終了した展覧会・イベントです

「ナラッキー」

王城ビル
終了しました

アーティスト

Chim↑Pom from Smappa!Group
王城ビルには約30年間閉ざされてきた4フロア分の吹き抜けがあります。建物のデザインからして城の裏側といったその空間に、Chim↑Pom from Smappa!Groupが新作インスタレーションを制作、常設設置を試みます。そのお披露目を兼ねた展覧会を、パフォーマンスや音楽などと絡めて開催。レストランや各種イベント、ショップも Chim↑Pomが手がけ、1 カ月限定の「Chim↑Pom from Smappa!Groupによる美術館」のような施設を仮設します。

歌舞伎町という名称は歌舞伎座を誘致しようとした戦後の都市計画に由来します。大建築禁止令などによってその目論見は頓挫しましたが、戦前新宿にあった「新歌舞伎座」(松竹)が3年ほどで大衆演劇の場に移ったことなども相まって、歌舞伎座という伝統と歌舞伎町という歓楽街のミスマッチは都市論や文化論で語られてきました。
都市論的にいえば、水辺という低地で発展した歓楽街と、高台で保守化する文化のコントラストを考察する『アースダイバー』(中沢新一)は、その冒頭でまさに王城ビルの隣の「歌舞伎町公園(歌舞伎町弁財天)」を取り上げることで論旨を明らかにしています。沼地を埋め立てたことを標すこの公園には、水の因縁として弁財天が祀られ、変わりゆく街の中で唯一変わらない場所として、街の精神性をいまに伝えてきました。

Chim↑Pomはそれらの文脈に閉ざされてきた吹き抜けを重ね、今回、その空間を「奈落」として読み取ることを試みます。
翻訳サイト「DeepL」では「The End」と訳され、落下事故やかつての暗い雰囲気などから、仏教用語で地獄を意味する言葉で名付けられた「奈落」。「奈落に落ちる」の慣用句に代表されるように、江戸時代には舞台の地下は忌まわしい場所として遠ざけられていたようです。実際、奈落で働く人々はかつて「穴番」と呼ばれ、その閉鎖性は底無しの穴や沼のように捉えられてきました。

Chim↑Pomは、歌舞伎への敬意と歌舞伎町の歴史への接続から、吹き抜け空間に実際の奈落で録音された歌舞伎公演の音を流します。録音は、歌舞伎界の新鋭として次世代を担い、現代アートに関する著作もある尾上右近の自主公演第七回『研の會』「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」公演中の奈落。そこから何が聴こえているのか......。歌舞伎町に転送された環境音から、奈落のリアリティに迫ります。
また、吹き抜け空間にはセリも登場。カッティングしたトラスが上下するサイトスペシフィックなビルの彫刻作品となります。さらに、吹き抜け空間の上部階である屋上にも穴を開け、「奈落の底」である最下層部の床も解体。閉鎖空間を外へと接続し、奈落の概念を街と天へと上下左右に拡張します。

※会期中、毎週土曜日夜は、Smappa!Group プレゼンツ・涌井智仁、古藤寛也、シャララジマなどによる イベントを開催予定。イベント中はいくつかの展示はご覧いただけません。 詳細は公式ホームページよりご確認ください。

スケジュール

2023年9月2日(土)〜2023年10月15日(日)

開館情報

時間
15:0021:00
1Fレストランは22:00まで営業(ただしイベントによって時間変更予定)
休館日
火曜日
入場料一般 2000円(併設されるレストランは入場無料)、学生・障害者手帳提示と付き添い1名 1500円、4歳未満 無料
展覧会URLhttps://www.hellonaraku.com/
会場王城ビル
https://ohjo.jp/
住所〒160-0021 東京都新宿区歌舞伎町1-13-2
アクセス西武新宿線西武新宿駅より徒歩5分、JR新宿駅東口より徒歩5分
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