小山登美夫ギャラリー六本木この度小山登美夫ギャラリー六本木では、坂本夏子の新作展「知らない誰かと交信するために描く」を開催いたします。本展は、坂本にとって弊廊での初個展となります。坂本夏子(1983年熊本県生まれ、東京都在住)は、独自の制作方法によって絵画の可能性を探求し続けてきたアーティストです。2008年名古屋での初個展にて、少女たちがタイルに囲まれた迷宮のような風景を発表。それから次々と変化していく彼女の作品に共通しているのは、絵画のなかに起こる一つの連続性です。一貫して絵画という媒体そのものに向き合い、描くことを、既存のイメージを表出するための行為ではなく「未だ無い空間にふれるための方法」と捉えてきました。制作の過程で生じる「間違い」を積極的に作品に受け入れながら、予測を超えた絵画空間を生み出しています。
本展で発表される新作について、坂本は「描き終わった絵画のひとつひとつの絵の具が、その位置を確定しないままにキャンバスの上にいられるなら、未来に向かっていくつものコミュニケーションをひらくことができるのではないかと想像する」といいます。こうした絵画との向き合い方は、近年、記憶を失いつつある父とのコミュニケーションとも重なります。父から送られてくる、意味を読み取りきれない文字列のメッセージ。それらは一見すると誤入力のようでありながら、確かに誰かへ向けられた意思を含んでいます。坂本は、その読み取りきれない発信に向き合う姿勢を、絵画との関係にも見出しています。作者の意図を超えて振る舞う絵画は、未来の自分や、まだ出会ったことのない誰かから届くメッセージのようでもあります。
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