この度、ロサンゼルスを拠点とする写真家・ニック・ヘイムズ(Nick Haymes)の新刊写真集『Chronograph』の刊行を記念して、個展「Chronograph」を開催いたします。2001年から2026年にかけて作者が撮影した25年以上にわたる写真を収録する本書『Chronograph』は、パートナーのリナ(Lina)と二人の子ども、フィリップ(Philipp)、ローレンス(Lawrence)との暮らしを記録した没入感あふれるクロニクルである。450ページを超える紙面に約1,000点の写真を収録し、ロサンゼルスとニューヨークを行き来しながら、長年にわたるドキュメンタリーの視線を最も身近な存在へと向けている。作者は、家族を感傷的な物語としてではなく、心理的な緊張や矛盾を内包する存在として捉える。子どもたちの姿、家の中の風景、動き続ける身体、荒々しい遊び、愛情、そして緊張が走る瞬間が交錯し、美しさと居心地の悪さは切り離されることなく共存する。無垢さは向こう見ずな振る舞いと隣り合い、親密さは不安と表裏一体となるなかで、子どもたちは成長し、人間関係は変化し、身体もまた移り変わっていく。ドキュメンタリー写真と丹念に演出されたタブローを行き来する写真表現は、自然な瞬間を捉えながらも、どこか演劇的な空気を漂わせている。本書は、家族を固定された社会的単位として提示するのではなく、近しさが安心感にも息苦しさにもなり得る、不安定な感情の場として描き出す。その結果として生まれるのは、愛情と葛藤が複雑に絡み合い、愛という脆くも強い結びつきが絶えず試され、更新され続ける家族の姿を見つめた、深い心理的ポートレートである。
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