アーティスト
アントワン・ダガタ、石原友明、大辻清司、北野謙、牛腸茂雄、小松浩子、 藤本由紀夫+森村泰昌、全日本学生写真連盟
「もの」と「こと」は、日本語の思考をかたちづくる重要な要素です。美術作品もまた、このふたつの言葉を巡って構想、制作されるものと言えます。広辞苑によると「もの」は「形のある物体をはじめとして、存在の感知できる対象」とあり、「こと」は、「意識・思考の対象のうち、具象的・空間的でなく、抽象的に考えられるもの」と定義されています。文脈によってそれぞれ「物」「者」、「事」「言」などの漢字が当て嵌められますが、自然物と人格的存在、出来事と言葉の関係など、さまざまな意味が重なり合い共鳴し合うのがわかるでしょう。「もの」への関与が「こと」を生み、また「こと」の現れは「もの」の誕生を促します。その生々流転の運動は止むことがありません。「もの」と「こと」をめぐる展覧会シリーズの四回目は、創造行為のなかの「対話」に注目します。制作の過程で生じる対話、対話しながらの共同制作、作品を前にして展開される議論。視線や行為の交換、イメージを媒介した非言語コミュニケーション。「対話」は人間同士だけではなく、人と「もの」、「もの」と「もの」との間でも起こります。展覧会は作品同士が「対話」する場でもあります。そこでは発見や学び、批評や批判が行き交い、理解と共感ばかりではなく、対立や葛藤も生じます。「対話は、生成し変容する「もの」と「こと」を往復する創造の循環を助ける役割をしているとも言えます。制作という出来事の過程で対話を受け入れることが、作品という物の形成に対してどう作用するのでしょうか。そして、姿を現した作品が、どのような対話の回路を開き次の思考や事象を招き入れるのでしょうか。本展は、「もの」と「こと」のネットワークのなかで絶え間なく起こる生成と変容とともに制作し、「対話」を通じて創造の新たな回路を開いてきた一群の作家の仕事を紹介いたします。
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