このたびhakari contemporaryにて、木藤遼太による個展「LOVERS」を開催します。木藤はこれまで、レコードプレイヤーやスピーカーといった音響装置を用いながら、音と空間の関係について制作を行ってきました。記録された音は、再生装置を介することで、その場には存在しない時間や場所を現在の空間へと呼び戻します。木藤の作品において音は、個人的な記憶を運ぶものであると同時に、物体とそれを取り巻く空間とを結びつけるものでもありました。本展「LOVERS」では、そうした記録と再生への関心から、何かを「伝える」という行為について考えます。その手がかりとなるのが、1977年に打ち上げられた宇宙探査機Voyagerと、そこに搭載されたGolden Recordです。地球上の音楽、言語、自然の音、画像などを収めたこのレコードは、存在するかどうかもわからない遠い誰かに向けて、現在も宇宙空間を移動し続けています。何かを送り出すことと、それが誰かに届くことは同じではありません。また、同じ場所で同じ時間を過ごすことが、その経験を共有することとも限りません。木藤はVoyagerが横断する巨大な距離を、私たちの日常に存在する他者との距離や、すでに過ぎ去った時間との隔たりへと重ね合わせます。会場には、光や音、写真、再生装置などを用いた作品が、生活空間を思わせる場のなかに配置されます。それらは、遠く離れた場所へ送られる信号や記録だけではなく、私たちが日常のなかで誰かに向けて送り続けているものについて考えるための装置でもあります。
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