Blackbird Galeryでは、画家・松村咲希の個展「The Lay of the Land」を開催します。松村の近作より、土地と風景の関係を見つめる絵画作品を中心に遠景に連なる山並み、俯瞰から捉えた地表の隆起や庭、陶器でつくられる小さな土地の断片など、異なるスケールで現れる土地のイメージが並びます。松村は長野県野沢温泉村というスキー観光地で育ちました。雪深い風土での暮らしやスキーの体験が表現の根底にあります。松村が生まれた1993 年頃以降、スキー観光需要は一時衰退へと向かい、近年ではインバウンド需要増加によって変化しています。観光地はその土地の自然や文化を基盤としながらも、能動的な場所です。松村にとって故郷の変容を実感したことが、土地と風景のテーマに注目するきっかけとなりました。しかし、変化するという経験は観光地だけのものではありません。それぞれの土地に人々の営みや文化、社会情勢や気候変動など多くの要素が関わり、そして、私たち個人の記憶や感情も重なって変化していきます。風景はそうした蓄積が現れた姿ともいえます。名古屋もまた戦争と再建、開発の歴史が現在の風景のなかに重なり合っている土地です。「The Lay of the Land」には、土地の地勢やありさまという意味と、その場の状況を把握するという意味があります。本展では、松村にとって、変容し続ける土地と風景を見つめる姿勢、私たちがその土地とどのような関係にあるのかを探る展示となります。
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