世界映画史に燦然と輝く巨人・溝口健二(1898-1956)。没後70年の節目にあたる本年、第39回東京国際映画祭(TIFF)との共催企画「TIFF/NFAJ クラシックス」では、溝口をめぐる当館初の展覧会と連動し、その偉業を顕彰します。東京に生まれた溝口は、青年期には画家を目指しましたが1920年に日活向島撮影所に入社、1923年に『愛に甦る日』で演出家の道を歩み始めます。関東大震災のために京都の撮影所に拠点を移したのちも多彩な作品を発表し、社会の犠牲となる女性たちを徹底したリアリズムで描く『浪華悲歌なにわえれじい』や『祇園の姉妹きょうだい』(ともに1936)は溝口の一つの頂点を形作りました。また、芸道物の大作『殘菊物語』(1939)や空前の巨大セットを組んだ『元禄忠臣蔵』前後篇(1941-42)は、溝口が日本映画を牽引する存在となったことを証しています。
大戦後は、復活の一作となった『夜の女たち』(1948)に続き、日本の古典文学に材を採った傑作群『西鶴一代女』(1952)、『雨月物語』(1953)、『山椒大夫』(1954)がヴェネチア国際映画祭で3年連続の受賞を果たします。長回しや移動撮影を多用した表現と完全主義の演出は、日本映画の高い芸術性を国際的に知らしめるとともに、フランスのヌーヴェルヴァーグの監督たちやテオ・アンゲロプロス、アンドレイ・タルコフスキーなど世界の映画人にインスピレーションを与えています。本特集では、近年デジタル修復された作品群を中心に、溝口の13作品(12プログラム)をすべて英語字幕付きで上映します。中でも、早稲田大学とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)による日本文化関連の学術・文化的取り組みを支援する共同連携事業「柳井イニシアティブ」の協力を得て、今年度に新たにデジタル修復を施した『瀧の白糸』(1933)は、本特集が国内初上映となります。上映に際しては多彩なゲストによるトークや弁士・伴奏音楽付きの上映も行います。溝口の監督作品を新たな視座から捉え直すことのできるこの機会に、皆さまのご来場を心よりお待ちしております。
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トーク
日時: 2026年10月31日17:45〜
登壇者: 木下千花(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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