セゾンアートショップ1981年の開館以来、セゾン現代美術館は、常にその時代の〈今〉を表現し、人間の感情や、その奥に広がる情景を見つめ続けてきました。このたびのリニューアルに際し、写真家・瀧本幹也が新たなセゾン現代美術館の姿を撮り下ろしました。細かな演出や依頼は設けず、建築や庭園、浅間山の自然環境と向き合うなかで、瀧本自身の視点と感性によって切り取られた風景がフィルムにおさめられています。光や空気、気配が自然に立ち現れる瞬間を静かに待ち、その場所に流れる時間へ「耳を澄ませるように」、不意に訪れる瞬間への応答として光がフィルムに刻まれる。そこには、自ら世界を切り取るのではなく、その場から立ち現れてくる光や時間を受け止めようとする姿勢があります。
45年前の開館記念「マルセル・デュシャン展」では、ジョン・ケージが当館でパフォーマンスを行いました。彼の代表作である《4'33''》は、音楽とは音を生み出すことではなく、世界にすでに存在する音へ「耳を澄ます」という、新しい芸術の在り方でした。瀧本の撮影に向き合う姿勢は、ジョン・ケージの感覚と今静かに響き合うかのようです。 45年にわたり育まれてきた創造の歴史が、瀧本の静かな眼差しによって新たな光を帯びています。本展では、瀧本幹也の写真を通して、浅間山が育んだ地球の記憶と人間が紡いできた創造の記憶が、静かに、やわらかく息づいています
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