このたび笠岡市立竹喬美術館では、日本画家榊原始更(さかきばらしこう)(1895~1969)の展覧会を開催します。榊原始更は、13人兄弟の7男として京都に生まれました。父・蘆江は友禅図案などを手掛けた染色家で、兄の雨村、紫峰、苔山、弟の弘も日本画家として活躍した芸術一家に育ちました。始更は京都市立美術工芸学校、同絵画専門学校で学んだ後、国画創作協会(国展)を主な発表の場として活動します。初期のスケッチや作品には確かな描写力がうかがえ、伝統的な日本画の技法を基盤にしながら、洋画の技法も積極的に取り入れています。日本画と洋画の垣根を越え、新たな表現を追求した始更は、国展が掲げた「生るヽものは芸術なり」の理念を体現した画家といえるでしょう。大正12(1923)年の日本美術展出品作《波切風景》(出品時の題名《風景》)では、キャンバスを支持体とし、一部に油絵具を用いながらも「日本画部」に出品されるなど、既存の枠組みにとらわれない独自の画境を切り開きました。また、昭和3(1928)年の《幽庭》(第7回国展出品)では、桃山障壁画風の表現にも挑戦しています。国展解散後は新樹社を経て無所属で活動し、昭和30(1955)年に独立美術展に油彩画が、さらに同年の第11回日展には《崖》が入選するという異例の入選歴を残しました。始更の回顧展は、没後の遺作展以来、半世紀以上開催されていません。本展では、最初期から晩年までの70点を通して画業の全貌をご紹介します。独自の表現を追究し続けた、始更の芸術を見つめ直す機会となれば幸いです。
[関連イベント]
1. 講演会「榊原始更 ―画業をたどる、伝統と革新―」
日時: 2026年10月25日13:30〜15:00
登壇者: 柴田就平(笠岡市立竹喬美術館 主任学芸員)
会場: 笠岡市立竹喬美術館
料金: 無料(事前申込み不要)
2. 学芸員によるギャラリートーク
日時: 2026年10月17日、11月15日13:30〜14:30
登壇者: 笠岡市立竹喬美術館 学芸員
会場: 笠岡市立竹喬美術館 展示室
料金: 無料(要入館料)
3. 竹喬茶会
日時: 2026年11月22日10:00〜16:00
会場: 竹喬美術館
料金: 900円
※イベント詳細・お申し込み方法は公式ホームページよりご確認ください。
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