ウィリアム・モンク 「Noon Day Night」

Pace 東京
残り5日

アーティスト

ウィリアム・モンク
Pace 東京では、2026年6月30日から8月16日までウィリアム・モンクの絵画の展覧会「Noon Day Night」を開催いたします。モンクにとって日本における初めての個展となる本展では、継続的に発表してきた境界性と形而上学的なテーマを探求するシリーズからの新作と近作が紹介されます。

クラシックな映画作品やサイケデリック・ロック、さらには自身の体験や無意識の中に蓄積されたイメージなどに着想を得ながら、モンクは超現実的で半抽象的な領域の絵画を生み出します。さまざまな記憶や感情を想起させ、鮮やかで、しばしばミステリアスな彼の作品は、絵画というメディウムが持つ長く豊かな美術史的伝統に深く根ざしています。彼の作品に繰り返し現れる番人は、2つの世界の境界に立つ案内人として存在し、そこには仏教における彼岸、すなわち「向こう岸」という概念や、死と再生のサイクル、さらには涅槃の達成など、日本との詩的な結びつきを見出すことができます。こうした「向こう岸へ渡ること」、あるいは「その先へ行くこと」という概念はモンクの連作にも見られ、新たな作品ごとにその異世界的なフォルムは発展・拡張されていきます。「繰り返しがあるからこそ、その微細な違いに目を向けることになる。それはフラクタルのようなものだ」と彼は語っています。

本展のタイトル「Noon Day Night」は、昼の空が激しい嵐や火山灰、その他の大気中の微粒子、あるいは日食などによって劇的に暗くなる気象現象に由来しており、時間を超越したような不思議な感覚を表します。展示されるシリーズに通底するのは、印象的でありながら言葉では説明できない曖昧さであり、そこには完全に現実的でも空想的でもない風景や建築的要素が描かれています。全体として見ると、モンクの作品群はフランスの人類学者マルク・オジェが提唱した「非-場所」(Non-Places)の概念を想起させるでしょう。これは人間同士の関係性や歴史、アイデンティティが消去された人類学的空間を意味します。モンクが2021年から2026年にロンドンとニューヨークで描いたこれらの作品は、その制作のプロセスにおいてさえも、ある種の「非-場所」から生まれたものだと言えます。

これらの作品が帯びる強い心理的作用——繰り返し現れる色とりどりの柱、儚げな煙の輪、薄暗い岩山、そして境界や通過地点を番人のように見守る不気味な人物などによって強調される——は、肉体的世界と精神的世界の境界が曖昧に開かれ、互いに浸透し合うとされるケルト文化の「薄い場所」(Thin Places)の伝統を彷彿とします。モンクは薄く溶いた色の層を幾重にも重ね、時間をかけてそれを乾燥させながら徐々に複雑な色合いを作り出していきます。こうして彼は、「薄い場所」に内包される研ぎ澄まされた意識や感覚を作品に反映させていくのです。鑑賞者に作品とじっくりと向き合うことを促しながら、モンクは記憶や無意識の未知なる領域に通じる道筋を次第に開いていきます。

「Noon Day Night」における作品群は、モンクの人生における具体的な場面——2024年にマヨルカ島のノイエンドルフ・ハウスにおいて1ヶ月にわたるレジデンシーを行ったことなど——や、ミケランジェロ・アントニオーニ監督の『情事(L’Avventura)』(1960年)や、スタンリー・キューブリック監督の『2001年宇宙の旅』(1968年)に暗示的に触れるものの、特定の物語とのつながりは回避されています。

「これらの絵画はある特定の瞬間を描くものだと思っている。それは映画における状況説明のための一連のシーンのようなものだ」とモンクは語っています。

《Stem I》(2024-25年)や《Sentinel IV》(2025年)では、件の番人は全身像として描かれ、キャンバス上で展開される幻想的なロールシャッハ・テストの「軸」のような役割を果たしています。それに対して《Underworld(sentinel I)》(2025年)では、番人は地中海の風景を思わせる濃密なサボテンの茂みや岩の峰によって覆い隠されており、死という領域への精霊的な案内人としての役割が色濃く表現されています。同様に、《Cactus Garden II》(2025年)では、ブロック状のフォルムが画面の周縁を構成するのに対して、《Sol Increased(son of nowhere)III》(2021-26年)ではそうしたフォルムが聳え立つ柱群へと形を変え、まるで主体性を持った異世界の存在のように描かれています。いずれの作品にも、霧がかかったようなグレー、ピンク、紫といった色調が鮮やかな赤、オレンジ、青へと展開する様子が見てとれます。そこに立ち現れるのは、作家自身の包括的で魅惑的な内的世界の肖像であり、見る者はその不可思議な輝きの中へと誘われます。

スケジュール

開催中

2026年6月30日(火)〜2026年8月16日(日)あと5日

開館情報

時間
11:0020:00
※以下の時間はアポイントメント制です
日曜日 18:00〜20:00
日曜日以外 19:00〜20:00
休館日
月曜日
入場料無料
展覧会URLhttps://www.pacegallery.com/exhibitions/william-monk-noon-day-night/
会場Pace 東京
https://www.pacegallery.com/
住所〒105-0001 東京都港区虎ノ門5-8-1 麻布台ヒルズ ガーデンプラザA 1F, 2F
アクセス東京メトロ日比谷線神谷町駅2番出口より徒歩3分、東京メトロ南北線六本木一丁目駅2番出口より徒歩8分
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