この度、CADAN大手町は、CON_の企画による、川田泰久と山中雪乃による二人展「Nested」を、2026年10月27日(火)から11月14日(土)まで開催いたします。
川田泰久は、知覚の手前に横たわる微細な差異——アンフラマンス——へと関心を注ぎ、描かれた像とそれを支える物質との境界が揺らぐ瞬間を絵画のなかに探ってきました。山中雪乃は、過ぎ去ったものの気配を画面にとどめ、失われたものを像としてではなく痕跡として、あるいは不在の輪郭として絵具のなかに沈めてきました。本展では、両作家の新作を発表いたします。
本展のタイトル「Nested」は、「入れ子になる」という状態を指す言葉です。大きな皮膜のような流れの内側に、小さな傷や、彫り込まれた痕跡が重なっている。ひとつの面のなかに別の流れが生まれ、異なるスケールと異なる時間が、同じ画面のうえに同時に存在する。覆うものと傷つけるもの、表層とその内側。その境界は、見つめるほどに曖昧になっていきます。見ることは、いつでも遅れて到来します。網膜に像が結ばれた一瞬と、それを像として認める意識とのあいだには、わずかな、しかし決して埋まらない隔たりがある——その隔たりのなかで、画面は一枚の面であることをやめ、幾重にも折り畳まれた層として立ち現れます。絵具の膜、支持体の肌理、型から写し取られた微細な凹凸。画面を成り立たせている物質のひとつひとつが、像へと回収されきらず、それ自体の手ざわりとして、別の層のなかにとどまろうとします。
二人の画面が並ぶとき、そこに立ち現れるのは様式の対話ではありません。大きな流れのなかに小さな流れが潜み、傷のなかにさらに小さな傷が宿るように、ひとつの経験のなかに別の経験が入れ子になって息づいている。見る者もまた、その幾重もの層のどこかに身を置き、傍らに留まりつづけることになります。本展が差し出すのは、閉じきらない入れ子のなかに留まりつづけることの、静かな強さです。
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