この度、亀戸アートセンターでは、長谷川有里 個展「HELLO my name is….」を開催いたします。長谷川有里は、忘れ去られるものや捨てられるものの虚しさや儚さに焦点を当て、「偽物」をテーマにぬいぐるみ作品を制作している作家です。誰もが知る映画やアニメのキャラクターをうろ覚えの状態で描き起こし、その違和感や曖昧さを含んだままぬいぐるみに落とし込む作品には、ユーモアや親しみやすさとともに、決して本物にはなれない存在の哀愁が漂います。
本展では、それら“偽物”たちが、まるでグループセラピーや自己啓発セミナーの参加者のように集まり、自らの存在について向き合う場が構想されています。作品には「HELLO my name is….」と書かれた名札が与えられ、それぞれが異なる不安や葛藤、あるいは言葉にならない諦めを抱えながら、その場に居合わせます。
長谷川の作品において、「偽物」はこれまで一貫して本物にはなれない存在として扱われてきました。しかし今回、その悲哀は単なる滑稽さや儚さを超え、自らが“偽物であること”を認識し、受け入れざるを得ない地点へと進みます。本展で浮かび上がるキーワードは「諦め」です。それは敗北や断念というよりも、本物になれないこと、消費され、いつか忘れ去られていくこと、そのどうにもならなさをやむおえなく受け入れる感覚なのかもしれません。
「詰まるところ、この世はまやかし。そのまやかしを使って戯れる。」
長谷川が長年抱えてきたこの感覚を根底に、本展は“偽物”たちによる集会として現れます。諦めきれず、しかし諦めようとする彼らの姿は、私たち自身の不安や欲望、あるいは救いを求める感情を映し出しているのかもしれません。この機会にぜひご高覧ください。
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