唯一無比の個性と情熱:「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が東京都現代美術館で開催へ

アート・ディレクター、デザイナーとして、多岐に渡る分野で新しい時代を切り開きつつ世界を舞台に活躍した石岡瑛子の大規模回顧展

In Art Beat News by Art Beat News 2020-07-19

「血がデザインできるか、汗がデザインできるか、涙がデザインできるか。・・・別の言い方をするならば、「感情をデザインできるか」ということです。・・・私の中の熱気を、観客にデザインというボキャブラリーでどのように伝えることができるだろう。いつもそのように考えているわけです」

これは、2003年の世界グラフィックデザイン会議で石岡瑛子が発した言葉だ。

唯一無比の個性と情熱で多岐に渡る分野での新しい時代を切り開き、アート・ディレクター、デザイナーとして世界で活躍した石岡瑛子(1938-2012)の世界初の大規模な回顧展「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」が、東京都現代美術館で開催される。会期は11月14日〜2021年2月14日。

石岡瑛子は1938年東京都生まれ。東京藝術大学美術学部を卒業後、資生堂に入社。社会現象となった資生堂のサマー・キャンペーン(1966)などで頭角を現した後独立し、パルコ、角川書店などの数々の歴史的な広告を手がけた。

1980年代初頭には拠点をニューヨークに移し、映画、オペラ、サーカス、演劇、ミュージック・ビデオなど、多岐にわたる分野で活躍。マイルス・デイヴィス『TUTU』のジャケット・デザインでグラミー賞受賞(1987)、映画『ドラキュラ』の衣装でアカデミー賞衣装デザイン賞受賞(1993)など華々しい功績を残し、2008年北京オリンピック開会式では衣装デザインを担当した。

自伝『私デザイン』(講談社、2005)にも克明に記述されているように、石岡の仕事は、マイルス・デイヴィス、レニ・リーフェンシュタール、フランシス・フォード・コッポラ、ビョーク、ターセム・シンら名だたる表現者たちとの緊張感に満ちたコラボレーションの連続で生み出されてきた。

そうして集団制作の中で個のクリエイティビティをいかに発揮するかに賭けた「石岡瑛子の方法」を、デザインのプロセスを示す膨大な資料とともに紹介し、その秘密に迫るこの展覧会。展示は3部で構成される。

まず第1章は「Timeless:時代をデザインする」。ジェンダー、国境、民族といった既存の枠組みの刷新、新しい生き方の提案を、ビジュアルを通して社会に投げかけた石岡瑛子。この章ではグラフィック、エディトリアル、プロダクト等のデザインを通して、1960 年代の高度経済成長期から80年代に至る、消費行動を通した日本大衆文化の成熟を辿る。

第2章は「Fearless:出会いをデザインする」。1980年代半ば以降、デザインの表現領域を超えて活動を展開した石岡。エンターテイメントという巨大な産業のなかで個人のクリエーションのアイデンティティをいかに保ち、オリジナリティを発揮するかという問いに向き合いながら、コラボレーションによるデザインの可能性を拓いていった石岡の活動を振り返る。

最終章となる第3章は、「Borderless:未知をデザインする」。この章ではオペラや映画、サーカスのコスチュームやオリンピックのユニフォームを通して、身体を拡張し、民族、時代、地域などの個別的な属性を乗り越えた、未知の視覚領域をデザインしていく仕事を総覧する。永遠性、再生、夢、冒険といった普遍的なテーマを足掛かりに、人間の可能性をどこまでも拡張していく後半生の仕事は、常に新たな領域へと果敢に越境し続けた石岡自身の人生と重ねられるだろう。

「赤」をキーカラーとし、視覚的なインパクトとエモーションを併せ持つ石岡の仕事と現在進行形のクリエーションを体感できる本展。海外では「サバイブ」を口癖に困難に立ち向かい、あらゆるデザイン領域に挑戦してきたその仕事は、2020年の現在を生きる私たちに力強いメッセージを投げかけるはずだ。

■ 石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか 
会場:東京都現代美術館
会期:2020年11月14日〜2021年2月14日
休館日:月曜日(11月23日、2021年1月11日は開館)、11月24日、12月28日〜2021年1月1日、1月12日
開館時間:10:00〜18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
入場料:一般 1800円、大学生・専門学校生・65歳以上 1300円、高校生・中学生 700円、小学生以下 無料
※最新情報は美術館ウェブサイトをご確認ください。

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