「第24回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」が日本科学未来館を中心に開幕。時代を切り開く表現が一堂に

9月23日、日本科学未来館で「第24回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」がスタートした。[AD]

poster for The 24th Japan Media Arts Festival

「第24回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」

お台場、勝どきエリアにある
日本科学未来館にて
このイベントは終了しました。 - (2021-09-23 - 2021-10-03)

In Main Article 3 フォトレポート by Art Beat News 2021-09-24

9月23日、「第24回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展」が東京・お台場の日本科学未来館を中心に開催中だ。会期は10月3日まで。

文化庁メディア芸術祭はアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4部門の優れた作品を顕彰するとともに、受賞作品を鑑賞できる、国内でもっとも大きなメディア芸術の総合フェスティバルのこと。1997年に第1回が行われて以来、新たな表現を紹介し続けてきた。

今年は、世界103の国と地域から応募された3693作品の中から、アート、エンターテインメント、アニメーション、マンガの4つの部門ごとに、大賞、優秀賞、ソーシャル・インパクト賞、新人賞、U-18賞を選出。また、世界34の国と地域から応募された114作品の中から、フェスティバル・プラットフォーム賞も選ばれたほか、メディア芸術分野に貢献のあった者へ功労賞も贈呈された。

受賞作品展では、そうした多様な表現形態を含む受賞作品と功労賞受賞者の功績を一挙に見ることができる。これまで様々な会場で受賞作品展が行われてきたが、今年はお台場の日本科学未来館を中心に、池袋HUMAXシネマズ、CINEMA Chupli TABATAなどでは映像作品が上映。

ここでは、広々とした2フロアを用いた日本科学未来館の展示の様子を紹介する。

アート部門

アート部門の大賞は、小泉明郎《縛られたプロメテウス》。VR/AR技術を駆使した体験型演劇作品だ。プロメテウスはゼウスから火(=テクノロジー)を盗み、人間に与えたことが原因で磔にされ、永遠の苦しみを受ける罰に処された。このギリシャ悲劇の物語『縛られたプロメテウス』を出発点に、文明社会においてさまざまに変奏されてきたテクノロジーと人間社会との緊張関係にフォーカスした本作では、ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者であり、自らの難病の啓発活動を精力的に行う武藤将胤が「現代のプロメテウス」を演じる。パナソニックセンター東京で本作を実際に体験できるが、予約は即満員に。日本科学未来館では、映像ドキュメントが上映されている。

アート部門のソーシャル・インパクト賞を受賞したジモン・ヴェカート(Simon Weckert)の《Google Maps Hacks》は、Googleマップの交通渋滞表示を利用した作品。小さなカートに99台の中古スマートフォンを載せ、Googleマップを起動させスマートフォンを運ぶことでGoogleマップはに交通渋滞を発生したと思い込み、人々はその道路を避けるようになる。ユーモラスでありながらも、Googleと情報、地図と権力などの問題が浮き彫りになる作品だ。会場ではドキュメント上映と実際のカートとスマートフォンが展示される。

そのほか、実際の紙に描かれたドローイングをタブレットやスマートフォンの専用ARアプリを通して見ることで、ストーリーを鑑賞できるAdrien M & Claire Bのポップアップブック《Acqua Alta – Crossing the mirror》。約45分間かけて振り子のように揺れる5台のモニターと、そこから生まれる音、さらに音と連動する映像が組み合わさったインスタレーションStefan Tiefengraber《TH-42PH10EK x 5》など、会場で体験できる作品もいくつかある。

エンターテインメント部門

エンターテインメント部門の大賞​は、岩井澤健治の長編アニメーション作品《音楽》。マンガ家・⼤橋裕之の『音楽と漫画』(太田出版、2009)を原作に、楽器を触ったこともない不良学⽣たちがバンドを組むところから始まる作品だ。岩井澤は「長編アニメーションは基本的に大きな会社が取り組み、個人がやることは少ない。でも実制作の長編を作りたかったんです」と、制作に費やした約7年半の時間を振り返る。作品では手描き作画にこだわり、映像をフレームごとにトレースするロトスコープの手法を取り入れた。会場では実際に行った、トレース素材でもある音楽ライブ映像を見ることができる。

そのほかエンターテインメント部門では、稽古から上演まで「⼀度も会わずに」フルリモートで演劇を制作するオンライン劇団「劇団ノーミーツ」、スマートフォンやタブレットで、ノートやホワイトボードに描いたらくがきをスキャンすることによって、端末のバーチャル空間内でそれらが⾃由に動き回るようになるアプリケーション「らくがきAR」が優秀賞を受賞。寝たきりや移動が不⾃由な状態でも操作できる分⾝ロボット「OriHime」を開発し、それを活用して障害者雇⽤を促進する社会実装プロジェクト「分⾝ロボットカフェ DAWN ver.β」はソーシャル・インパクト賞を受賞し、会場では実際に分⾝ロボットと会話を楽しめる。

アニメーション部門

アニメーション部門の大賞は、湯浅政明が監督した《映像研には手を出すな!》。大童澄瞳の原作マンガをベースに、劇中でアニメーションをつくる登場人物たちの表現を手描きアニメーションならではの迫力で映像化し、アニメのおもしろさの真髄をアニメで表現した。優秀賞は、手描きと3DCGを融合させた変幻自在で軽やかな映像と、1匹の犬の視点で描かれる「自分にとって一番大切なこととは何か」という問いが、印象深い視聴体験を生むアンカ・ダミアン《マロナの幻想的な物語り》、佐藤順⼀/柴⼭智隆《泣きたい私は猫をかぶる》、⽯⽴太⼀《劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン》など。一部作品は会場で絵コンテが展示されており、どのような過程を経てアニメーションが作り出されたかを垣間見れる貴重な場になっている。

マンガ部門

マンガ部門の大賞は、東京の下町・六月町に一人で暮らす、高校生にしてプロ将棋棋士の桐山零が主人公の⽻海野チカ《3⽉のライオン》。優秀賞は親しみやすいタッチで出産の喜びを描きながらも、世界の子どもたちが置かれている実情を問いかける⼭本美希《かしこくて勇気ある⼦ども》、結婚、老後、孤独死など、現在問題視されるテーマに切れ味鋭く迫る社会派ギャグマンガ《ひとりでしにたい》、激動のフランス革命を舞台に、死刑執行人のサンソン家に生まれた兄妹の生きざまを描いた坂本眞⼀《イノサン Rouge ルージュ》など。もしマンガをじっくり楽しみたい場合は、見晴らしのよい会場7階へ。実物を自由に手に取り、読むことができる。

メディア芸術祭に来れば、世界にはいまどんな新技術があり、それがどのように表現と結びついているかを一望することができる。最新の動向を知るショーケースとして訪れて損はないだろう。

またこの度、本芸術祭のスペシャルサイトがオープン。過去の映像作品ギャラリーと、受賞者等によるトークセッション、過去3回分の受賞作品のアーカイブの一部を12月24日まで見ることができるためこちらもチェックしたい。

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