
だんだんと日が暮れるのが早くなり、まだ残暑を感じるこの季節。東京では、無料で楽しめる魅力的な展覧会が多数開催されている。今月はイッセイ ミヤケ、江戸絵画、ループンテールなど、気軽に訪れることができる展覧会を8件セレクトした。
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*各展覧会の会期・内容は予告なく変更になる場合があるため、お出かけ前には公式ウェブサイトをご確認ください。
「ペーパーログ」とは、イッセイ ミヤケ社の独自技法「製品プリーツ」の製造工程で生まれる副産物、プリーツがかかった紙を圧縮したロールのこと。イッセイ ミヤケ社のプロジェクトチームが、スペインの建築事務所アンサンブル・スタジオと協働して発展させた素材だ。本展のテーマとなるのは、アンサンブル・スタジオによる「記憶をもつオブジェ」としての作品群「膜(Shell)」と、イッセイ ミヤケのチームが素材の特性を探求した家具のプロトタイプ「核(Core)」。今年4月のミラノでの開催を経て、「膜」と「核」を対話させる構成で作品を展示し、ドキュメンタリー映像もあわせて紹介する。日本初公開となる本展では、再構成された配置や展示什器にも注目したい。
会場:21_21 DESIGN SIGHT
会期:8月13日〜9月13日
薬草は、医療や薬膳料理など現代の暮らしのなかでも身近に活用されている。本展では、先人たちが身近な植物を観察と経験によって暮らしに取り入れてきた「薬草」の歴史や文化、その知恵を紹介する。暮らしのなかにすでにある知恵や工夫を見つめ直し、生活に取り入れる。その視点は無印良品のものづくりの考え方と共鳴し、豊かな暮らしを探すきっかけへとつながるだろう。会場では、薬草の実物展示や、薬草研究者の新田理恵とともに日本各地の生産者や伝承する人々を訪ねた旅のインタビュー、現代における養生の習慣や手仕事などを紹介する。
会場:ATELIER MUJI GINZA
会期:8月28日〜11月23日
BUG Art Awardは、制作活動歴10年以下のアーティストを対象にしたアワード。審査員からのフィードバックや、展示・設営に関する相談会などを通して、審査の過程でアーティストの成長を支援している。本展は、第4回BUG Art Awardの一次・二次審査を通過した6名のファイナリストによるグループ展。参加作家は、大塚珠生、齊藤美帆、さとうくみ子、鈴木一生、竹内佐実、Moche Le Cendrillon。
会場:BUG
会期:9月9日〜10月4日
橋本知成は、滋賀県信楽町を拠点に大型のセラミック彫刻を制作するアーティスト。立方体や球体、柱状のフォルムなど、一見すると静かで幾何学的な造形が数多く見られる。その均整の取れたフォルムは、完成された形態を目指す意志と、人の思い通りにはならない土という素材との対話のなかから生まれる。本展は、約4年ぶりとなる橋本の個展。「手びねり」によって成形される巨大な土塊には、理想と現実のあいだを往復しながら積み重ねられた時間と、作家の身体の記憶が静かに刻まれている。
会場:PARCEL
会期:9月12日〜10月18日
本展は、画家・中田有美による油彩画「Small Window」シリーズの新作展。スクリーンショットとその配置をもとに制作される連作だ。中田は、私的で閉じた図像から別の視覚を生み出したいという欲求にもとづき制作している。個人写真からデジタルコラージュ画像をつくり、それをPCのウインドウ上で極端に拡大してスクリーンショットを撮影する——こうした半自動の作業から生まれた半ば無意味な画像群を、作家の意思で配置し描画することで、元の図像の意味と絵の筆触を切り離しながら、複数の視覚が同時に展開する絵を目指す。見ることそのものを問い直す中田の作品群に注目したい。
会場:WISH LESS
会期:9月12日〜9月27日
本展は、韓国・ソウル文化財団と協働し、ソウルを拠点に活動するアーティストデュオ・ループンテールを日本で初めて紹介する展覧会。ループンテールは、ヴィデオゲームやインタラクティブ・インスタレーション、ワークショップなどの手法を通して、都市や社会において周縁化された存在、あるいは普段意識されることのない他者や環境との関係性を探求してきた。展覧会タイトルの「알아보다(アラボダ)」は、「知る(알다)」と「見る(보다)」から成る韓国語独自の複合動詞だ。本展では、この「アラボダ」の実践と精神性を手がかりに、人間、非人間、テクノロジーが複雑に絡み合う世界と私たちとのあいだに起こりうる、新たな関係性や対話のあり方を探る。
会場:シビック・クリエイティブ・ベース東京(CCBT)
会期:8月29日〜10月4日
会場となるUp & Comingは、多摩美術大学が卒業後のキャリア形成支援を目的として運営するアートスペース。アーティスト自身が、展示・関連イベントの企画から広報物・アーカイヴ作成までを自己プロデュースし、若手作家の新しい表現を発信する場として機能している。本展は、絵を描く際に、ひとつひとつの痕跡・筆跡が頭で想起した通りにいかないことを、データのエラーメッセージ「409 Conflict」になぞらえる。その誤作動の繰り返しさえも受容し、絵画に幸福を感じながら描くことに向き合う6人の作家による展覧会だ。参加作家は、伊澤真利奈、長嶋由季、田中良太、鈴木星亜、北村拓之、池上太郎。
会場:Up & Coming
会期:8月21日〜9月27日
本展は、対照的な「さっぱり」「こってり」という2つのキーワードを軸に、江戸絵画の豊かさや面白さを紹介する。「さっぱり」の例として、江戸狩野派を代表する狩野探幽による、筆数を抑え余白を生かした軽みのある画風を紹介。「こってり」の例としては、濃厚な色調や細部への強いこだわりを感じさせる中国の花鳥画に倣った南蘋派や、西洋の遠近法・陰影法を取り入れた洋風画などが展示される。
会場:板橋区立美術館
会期:8月29日〜9月27日