2025年6月開幕のおすすめ展覧会を全国からピックアップ。気になる展覧会はウェブ版でのログインやTABアプリでブックマークがおすすめ。アプリでは、開幕と閉幕間近をプッシュ通知でお知らせします。
昭和初期のアール・デコ様式をいまに伝える旧朝香宮邸は、1933年に竣工した国指定重要文化財である。本展は、年に一度の建物公開展として、建築空間の機能とその変遷に焦点を当てるものである。朝香宮家の邸宅としての14年間、吉田茂元首相が政務の場として活用した7年間、国の迎賓館として、数々の国賓をもてなした19年間、民間の催事施設として、多くの人々に開かれた7年間、そして美術館としての42年間など、時代ごとに建物がどのような機能や役割を果たし、人々と共生してきたのかを探る。各時代を彩るゆかりの作品や写真・映像資料を通して、建物の記憶をひもとく。ニュースはこちら。
会場:東京都庭園美術館
会期:6月7日〜8月24日
言葉に深い敬意を抱き、詩や物語から着想を得て独自の板画世界を築いた棟方志功。本展は、詩人たちの言葉と向き合いながら制作されたメッセージ性の強い作品群を一堂に公開する大規模特別展の第1章である。棟方がどのように言葉を受け止め、板に刻み、視覚芸術として昇華させたのか。その創作の核心に迫る。
会場:日本民藝館
会期:6月14日〜7月27日
国内外のアール・ブリュットの現在地を多角的に紹介するシリーズの第4弾は、イギリスに焦点を当てる。ゲスト・キュレーターにジェニファー・ギルバートを迎え、英国アール・ブリュット/アウトサイダー・アートの世界をひもとく。マッジ・ギルやスコッティ・ウィルソンといった知られてきたアーティストから、日本初紹介となる新進作家まで、11名の多様な表現が並ぶ。アール・ブリュットという言葉の背景とともに、未知なる創造の世界を体感する機会となる。
会場:東京都渋谷公園通りギャラリー
会期:6月21日〜8月31日
石橋財団が長年にわたり収集してきたオーストラリア現代美術のなかから、初めて女性アボリジナル作家に焦点を当てた展覧会。国際的に再評価が進むアボリジナル・アートの動向とも呼応し、地域に根ざした多様な表現を紹介する。所蔵作家4名を含む、計7名と1組の作家による作品を通じて、オーストラリア先住民美術への理解を深めるとともに、現代アートとしての魅力を再発見する機会となる。
会場:アーティゾン美術館
会期:6月24日〜9月21日
高畑勲の生誕90年、そして太平洋戦争終戦から80年という節目の年に開催される本展は、スタジオジブリの企画協力のもと、その創作の原点に迫る回顧展である。『火垂るの墓』と『アルプスの少女ハイジ』を象徴に据えつつ、スタジオジブリ以前のキャリアを中心に、高畑が築いたリアリズムと人間描写の系譜をたどる。アニメーションに対する独自の哲学や演出手法、表現の進化を通して、日本アニメーションの礎を築いたその軌跡を浮き彫りにする。詳細はニュースをチェック。
会場:麻布台ヒルズ ギャラリー
会期:6月27日〜9月15日
写真を主なメディアとして創作活動を行うアジアのアーティストに焦点を当てるシリーズ第2弾として、インド出身のプシュパマラNを紹介する展覧会。彫刻家から出発したプシュパマラは1990年代以降、写真や映像を用い、自ら演じるフォト・パフォーマンスで、国家や女性像に鋭く迫る表現を展開してきた。緻密に構成された演出とアナログな手法によって、歴史や文化に刻まれた視覚的記憶を再構築する実践は、見る者に「真実」の在りかを問いかける。
会場:シャネル・ネクサス・ホール
会期:6月27日〜8月17日
光あふれる筆致で、実在と想像のあわいを描き続けてきた原良介。風景と視線の関係に着目した作品で知られる原は、近年、風景そのものを「置かれた物体」として描いたり、立体作品へと展開する試みも行っている。本展では、新作《サギ子》と《フナ子》を含む絵画と立体作品を通して、人と自然の境界に光を当てる表現を紹介する。
会場:平塚市美術館
会期:6月14日〜9月15日
「だんご3兄弟」「ピタゴラスイッチ」「バザールでござーる」などで知られる佐藤雅彦の、約40年にわたる創作活動を初めて総覧する世界初の大規模個展。広告、音楽、教育番組、ゲームといったジャンルを横断する代表作に加え、制作の裏にある思考や理論にも迫る。見る者は、「知っている」作品の数々を手がかりに、「伝える」ことへの新たな視点を得る。ニュースはこちら。
会場:横浜美術館
会期:6月28日〜11月3日
京都洋画壇の重鎮であった黒田重太郎は、画家であると同時に多作な文筆家でもあった。その著作は、ヨーロッパ美術の動向を伝え、西洋美術受容に重要な役割を果たした。本展では、黒田が紡いだ京都洋画壇の形成過程を所蔵品とともにたどり、その発展の礎を紹介する。詳細はニュースをチェック。
会場:京都市京セラ美術館
会期:6月20日〜8月31日
これまでほとんど注目されていないもの、一部の研究者は熱心に研究しているものの、一般の方々にはほとんど知られていないものなど、「知られざる鉱脈」としての日本美術に光を当てる企画。伊藤若冲ら「奇想の画家」の作品が集結するほか、縄文土器から現代アートまで広く紹介される。ニュースはこちら。
会場:大阪中之島美術館
会期:6月21日〜8月31日
20世紀前半の激動の時代、海外で成功と挫折を経験したふたりの日本人画家、藤田嗣治(1886〜1968)と国吉康雄(1889〜1953)。それぞれフランスとアメリカに渡ったふたりは、その地で画家としての地位を確立した。パリとニューヨークで交流したことも知られているが、太平洋戦争で大きくその立場が隔たることとなったふたりの作品を画期となる時代ごとに展示する。
会場:兵庫県立美術館
会期:6月14日〜8月17日
戦争や原爆の記憶と美術表現の関係に光を当てる本展は、戦中・戦後の銅像やモニュメントの変遷を通じて、記憶の形成や再構成のあり方を考察する。ミュージアムやアーカイヴといった記憶にかかわる制度・媒体に注目し、現代アーティストによる試みも紹介。過去と現在の対話的なつながりを見つめ、表現を通じた記憶の継承について問い直す。館蔵の「ヒロシマ」関連作品も交え、戦争の記憶と向き合うための思索の場をひらく。
会場:広島市現代美術館
会期:6月21日〜9月15日