公開日:2022年12月8日

今月の読みたい本!【12月】岡﨑乾二郎、NFTアート、新宗教と建築、西洋絵画鑑賞、アニメ論、合田佐和子

アート、映画、デザイン、建築、マンガ、ファッション、カルチャーなどに関するおすすめの新刊を毎月紹介。

『みるみるわかる「西洋絵画の見方」』

壺屋めり 著
小学館 2000円+税 10月26日発売

わかりやすいテキストとイラストで西洋絵画を解説する1冊。15世紀〜17世紀のイタリア絵画を中心に、西洋絵画の規則・枠組みを、絵画の歴史の流れにそって、「注文する」「制作する」「体系化する」「鑑賞する」の4つのテーマで概観。絵画をなぜ注文したのか、その絵画の役割とは、また当時の画家とはどのような職業だったのかなど、気になるテーマを楽しく説明。絵画鑑賞の底力アップにつながるだろう。

『新宗教と巨大建築(増補新版)』

五十嵐太郎 著
青土社 2800円+税 11月14日発売

キリスト教、イスラム教、仏教、神道といった前近代の宗教建築は建築史的に重要なものとして称賛されるが、いっぽうで近代以降の教殿はいかがわしいまなざしで見られてきた。それはなぜか。本書は19世紀に登場した天理教、金光教、大本教を具体的にとりあげ、新宗教の空間を考察。宗教の問題が世間で取り沙汰されるいま、待望の増補新版が刊行。

『THE NEW CREATOR ECONOMY[ニュー・クリエイター・エコノミー] NFTが生み出す新しいアートの形』

庄野祐輔、 hasaqui、廣瀬 剛、田口典子、 藤田夏海 編集
ビー・エヌ・エヌ 3200円+税 11月16日発売

コロナ禍に加熱した「NFTアート」。本書ではその現在地を、アーティスト、コレクター、キュレーター、リサーチャーなど様々な立場の視点から多面的に解説。さらに連綿と続いてきたコンピュータアートなど、現在へと至るこれまでの歴史にも目を向ける。NFTアートのグローバルなムーブメントは、アートのあり方をいかに変えるのか。その可能性を読み解く1冊。

『合田佐和子 帰る途もつもりもない』

高知県立美術館、三鷹市美術ギャラリー 監修
青幻舎 2700円+税 11月26日

没後初・最大級の個展が高知県立美術館、三鷹市美術ギャラリーで開催される合田佐和子(1940〜2016)。1965年の個展デビュー以来、オブジェや絵画、写真といったメディアを横断しながら創作を展開。アングラが隆盛した時代にはその退廃的な作風で当時気鋭の劇作家・文化人らと並走、90年代は一転してまばゆい光に満たされた内省的な世界を深めた。本書は展覧会に合わせ、オリジナリティを発揮し続けた作家としての全体像を紹介する。四方田犬彦による寄稿も。

『ブラチスラバ世界絵本原画展 2022-23:絵本でひらくアジアの扉』

足利市立美術館、うらわ美術館、千葉市美術館、新潟市新津美術館、東大阪市民美術センター 編集
青幻舎 2500円+税 11月26日

スロバキア共和国の首都ブラチスラバで2年ごとに開催される、世界最大規模の絵本原画コンクール「ブラチスラバ世界絵本原画展」。本書では、2021年の第28回展で選ばれた受賞作品と、近年のアジア諸国の絵本の盛り上がりとその背景を紹介。とくに近年活躍がめざましい日本と韓国に焦点をあて、原画や資料等を掲載。作家・しおたにまみこのインタビューも収録する。

『絵画の素 TOPICA PICTUS』

岡﨑乾二郎 著
岩波書店  5000円+税 11月29日発売

造形作家、批評家として様々な重要な著作を発表してきた岡﨑乾二郎の新著は、作家みずから創作の秘密を語る77篇のエッセイ集。各エッセイは著者によるテクスト、自作絵画作品、古今東西の傑作の3つの組み合わせから成り、著名な名画が思いもよらない像を結んでいく新鮮な鑑賞体験へと読者を導く。豊富なカラー図版を掲載。

『グローバル・アニメ論   身体/アーカイブ/トランスナショナル』

石田美紀+キム・ジュニアン 編著
青弓社 2800円+税 12月16日発売

新しいアプローチの実践を目指す国際的なアニメ研究の成果がまとめられた1冊。アメリカ、スペイン、台湾、シンガポール、フィリピン、韓国、日本といった各国・各地域のアニメをめぐる状況に、①国を超えて変容する声と映像、②多様な身体に作用する声と映像、③異なる素材が示すアニメの現場と仕事の形態という3つのアプローチで迫る発表と討論を収録する。

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