公開日:2023年3月6日

今月の読みたい本!【3月】異性装 、シャルル・フレジェ 、成相肇、長島有里枝、金森穣、レアリスム、アートディレクター、学芸員マンガ

アート、映画、デザイン、建築、マンガ、ファッション、カルチャーなどに関するおすすめの新刊を毎月紹介。

『闘う舞踊団』

金森穣 著
夕書房 2000円+税 1月23日

舞踊家・振付家、金森穣の回顧録。17歳で渡欧、巨匠ベジャールやキリアンの寵愛を受けて帰国した著者だが、帰国後に抱いたのは「全国各地に立派な劇場があるのに、なぜ創造・発信をしないのか」という思い。日本に真の意味での劇場文化を築くことを目指し、「劇場専属舞踊団Noism」を作り、舞踊家を育て、作品を創作。これまでの戦いの日々を振り返り、劇場のあるべき姿を探る。

『異性装 歴史の中の性の越境者たち』

中根千絵、本橋裕美、東望歩、江口啓子、森田貴之、日置貴之、阪本久美子、伊藤慎吾 著
集英社インターナショナル
 1000円+税 2月7日発売

2022年に渋谷区立松濤美術館での「装いの力ー異性装の日本史」が好評を博したことも記憶に新しいが、日本では古くから異性装に関する表現が多数残されてきた。「鎌倉殿の13人」にも登場した男装で戦う巴御前から、男女の兄妹が入れ替わる「とりかへばや物語」、女形が男性役として女装する歌舞伎「三人吉三」、さらに現代のマンガ、映画、演劇、BLなどの文化まで。異性装を軸にジェンダーの社会的、文化的な在り方を気鋭の研究者8人が論じる。

『イノベーション創出を実現する「アート思考」の技術』

長谷川一英 著
同文舘出版 1800円+税 2月11日発売

日本と米国の製薬企業に通算28年間在籍し、創薬研究、経営企画などを行なってきた実績を持ち、現代アートのファンとしてイベント開催などを行う筆者による本書は、「アート思考」を使ってイノベーションを起こすことを提唱。アートについて「興味をもった事象についてリサーチし、どういうことなのかを考えることは、ビジネスパーソンが新製品や新サービスを考えるときの過程と似ています」と語る、その真意は。名和晃平、AKI INOMATA、サイモン・フジワラ、オラファー・エリアソン、日比野克彦、チームラボ、杉本博司といったアーティストや、ヤマハ、Google、マクドナルドといった企業の事例を紹介。

『アートディレクター/デザイナーの仕事 デザインの手法、思考の源泉』

MdN書籍編集部 編
エムディエヌコーポレーション  3500円+税 2月27日発売

国内の第一線で活躍する先端・気鋭のアートディレクター、デザイナー164組が手掛けた仕事における、「スタートするときに考えたこと」から「完成に至るまでの工程」を掲載。クリエイティブの内面に迫るデザインストーリーの事例集、そしてデザイン実例の見本帳として、現代のデザインを考えるうえで参考になる1冊。

『学芸員の観察日記 ミュージアムのうらがわ』

滝登くらげ 著
文学通信 1600円+税 2月27日発売

学芸員の日々を描くSNSで連載中の人気マンガが書籍化。とある公立博物館を舞台に、展示をつくったり、 収集したり、調査・整理したり、といった学芸員の仕事の知られざる裏側をほのぼのとしたトーンで描く四コママンガ。書籍にか書き下ろしとなる学芸員の仕事がわかるコラム、四コマ「【外伝】学芸員の就活日記」などを収録。

『クリエイティブであれ:新しい文化産業とジェンダー』

アンジェラ・マクロビー
田中東子 監訳 中條千晴、竹﨑一真、中村香住 訳
花伝社 2200円+税 2月27日発売

ポピュラー文化とフェミニズム理論、メディアとコミュニケーションに関する研究を専門とする著者の1冊。「クリエイティブであれ(ビー・クリエイティブ)」という呪縛が生み出す、現代の“終わりなき労働”とその構造とは。「自由」や「自己実現」と巧みに結びついて若者を魅了するクリエイティブな世界。劣悪な労働環境を甘受し、マルチタスク化に対応する「新しいミドルクラスの女性」は、いかにして作り出されるのか? クリエイティブ経済の絶頂期を、フェミニズムの視座から批判的にとらえる。

『こんな大人になりました』

長島有里枝
集英社 1800円+税 3月3日発売

アーティストであり、写真批評のあり方にジェンダー視点を通して異議申し立てを行った著書『「僕ら」の「女の子写真」から わたしたちのガーリーフォトへ』が大きな反響を生んだ長島有里枝。その新著はパンクなレジスタンス・エッセイだ。女性として、写真家として、シングルペアレントとして、生活者として、アラフォーからアラフィフの10年間を月々ありのままに記録したテキストを収録。

『AAM AASTHA(アーム アスタ)ーインドの信仰と仮装ー分かち合う神々の姿』

シャルル・フレジェ 著
青幻舎 4000円+税 3月9日発売

『WILDER MANN(ワイルドマン)』で人気を博した写真家シャルル・フレジェによる、世界の仮装シリーズ4作目。本作はインドの民族文化や宗教儀礼の力強いビジュアル面をたたえたポートレート200点を収録。仮面や頭飾り、衣装、ボディペイントといった装飾のディテールを強調しながら、人間や神などインドの無数の物語や人物を演じる人々の豊かな想像力を独自のスタイルで撮影する。

『芸術のわるさ コピー、パロディ、キッチュ、悪』

成相肇 著
かたばみ書房 3200円+税 3月10日発売

府中市美術館、東京ステーションギャラリー学芸員を経て、東京国立近代美術館主任研究員を務める著者による初の単著。「石子順造的世界―美術発・マンガ経由・キッチュ行」「ディスカバー、ディスカバー・ジャパン―「遠く」へ行きたい」「パロディ、二重の声―日本の一九七〇年代前後左右」「大竹伸朗展」といった、美術と雑種的な視覚文化を混交させる展覧会を企画してきた著者。本書では赤瀬川原平や岡本太郎、石子順造の思想や、雑誌、マンガ、広告、テレビなど1970年代前後の複製文化を読みとき、機知と抵抗の技術としていまに甦らせる。著者の示す「わるさ」というパースペクティブから見る、もうひとつの戦後日本文化史。

『レアリスム再考: 諸芸術における〈現実〉概念の交叉と横断』

松井裕美 編著
三元社 4800円+税 3月27日発売

レアリスムに関する論文集。19世紀フランスにおけるレアリスム絵画と文学の誕生から、ポップ・アート、ヨーゼフ・ボイス、真喜志勉まで。モダニズムとポストモダンの時代を舞台に、美術史、文学史、写真史、映画史といった人文学諸分野が「レアリスム/リアリズム」とむすんできた関係を考察し、従来、自然の模倣という一元的な視点から議論されてきたこの概念を再検討する。

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