公開日:2023年4月4日

今月の読みたい本!【4月】皮膚感覚、パブリックアート、デヴィッド・バーン、原田マハ、ミヤギフトシ、丸木俊、金川晋吾、嶋田美子、琴仙姫

アート、映画、デザイン、建築、マンガ、ファッション、カルチャーなどに関するおすすめの新刊を毎月紹介。

『朝露 ―日本に住む脱北した元「帰国者」と アーティストとの共同プロジェクト』

琴仙姫 編著
アートダイバー 2400円+税 3月17日発売

アーティスト琴仙姫(クム・ソニ)によって企画された「朝露」は、「元「帰国者」」をテーマとしたソーシャリー・エンゲイジド・アート・プロジェクト。1950〜80年代、9万人を超える在日朝鮮人が北朝鮮へと「帰国」。しかしこうした人々の多くはその後、深刻な貧困や過酷を経験することになる。琴、竹川宣彰、山本浩貴+高川和也の3組のアーティストは日本で暮らす脱北した元「帰国者」らに会いに行き、作品を制作。本書は2020年11月に展覧会で発表されたこれらの作品とその記録のほか、キュレーターや研究者らの寄稿も交えて、この東アジアの歴史問題に迫る。

『丸木俊:「原爆の図」を描き世界に戦争を伝える』

岡村幸宣 著
あかね書房 1500円+税 3月20日発売

夫の丸木位里とともに描いた「原爆の図」で知られ、本作を展示する「原爆の図丸木美術館」ををつくった画家・丸木俊の伝記。北海道で生まれ、東京の美術学校で学び、モスクワやパラオ諸島へも渡りながら、自然や人を愛し、豊かな創造性にあふれた絵を描き続けました。そんな芸術家の生き方を辿る。筆者は原爆の図丸木美術館 学芸員。

『ミヤギフトシ 物語を紡ぐ』

星野太+浅沼敬子+岩川ありさ+シュテファン・ヴューラー+ミヤギフトシ 著
浅沼敬子 編 水声社 2500円+税 3月25日発売

フェミニズム・クィア理論を援用しながら、写真、映像、インスタレーション、小説まで、様々な手法を横断的に用いて〈物語〉を紡ぎ出す、沖縄出身の美術家・小説家、ミヤギフトシ。本著は美術・文学の両側面からミヤギの活動を多角的に描き出し、その全貌に迫る。

『原田マハ、アートの達人に会いにいく』

原田マハ 著
新潮社 1700円+税 3月29日発売

『芸術新潮』のインタビュー連載が単行本化。小池一子、石内都、エマニュエル・プラット、美輪明宏、ドナルド・キーン、藤森照信、福武總一郎、山田洋次、高階秀爾、谷川俊太郎、青木淳、安藤忠雄ら、33人との対話を収録。

『現代の皮膚感覚をさぐる――言葉、表象、身体』

平芳幸浩 編著
春風社 3700円+税 3月31日発売

「皮膚感覚」を手がかりに、現代の諸表現の意義と可能性に触れなおす論文集。マルセル・デュシャン研究で知られる近現代美術の研究者である平芳幸浩が編著を務め、序論や「第7章 皮膚感覚としての『建築する身体』―荒川修作+マドリン・ギンズあるいはヘレン・ケラー」を執筆するほか、平芳裕子「第4章 シームレスの美学―ファッションと皮膚感覚」、牧口千夏「第6章 ピピロッティ・リストのヴィデオ・インスタレーションにおける皮膚感覚」などファッション、アート、マンガなどに関するテキストを収録。

『カラー版 パブリックアート入門 タダで観られるけど、タダならぬアートの世界』

浦島茂世 著
イースト・プレス 1200円+税 4月11日発売

アートライター浦島茂世が、奥深いパブリックアートの世界をガイド。駅前のブロンズ彫刻から、広場におかれた立体オブジェといったパブリックアートの歴史と魅力を紹介する。 戦後日本のパブリックアートのながれの解説、「みておくべき日本のパブリックアート30」も。

『音楽のはたらき』

デヴィッド・バーン 著
野中モモ 訳 イースト・プレス 3600円+税 4月19日発売

1974年にニューヨークでトーキング・ヘッズを結成、その後ソロとしても多彩なアーティストとともに数々の楽曲を発表してきたデヴィッド・バーン。1987年には坂本龍一らと映画『ラストエンペラー』の音楽を手がけアカデミー賞作曲賞を受賞。2018年に発表した『アメリカン・ユートピア』はブロードウェイでもパフォーマンスされ映画化もされるなど、様々な活動を展開してきた。本著はこの稀代の音楽家が生涯をかけて考え続けてきた、音楽に関するテキストを収録。

『おまえが決めるな!東大で留学生が学ぶ《反=道徳》フェミニズム講義』

嶋田美子 著
白順社 2200円+税 4月25日発売

1988年より女性と戦争をテーマに作品を制作してきたアーティストであり、美術史家、アーキビストとしても活動する嶋田美子。東京大学で行ったゼミを収録した本書は、「お仕着せの《平等》にNoを突きつけ、《よい子の女性運動》と訣別する、アートと叛逆のフェミニズム講座」。4月15日からオオタファインアーツ(東京)で始まる同名の個展とあわせてチェックしたい。

『いなくなっていない父』

金川晋吾 著
晶文社 1700円+税 4月25日発売

失踪を繰り返す自身の父親を撮影した写真集『father』(2016)で知られる写真家の文芸書。その後は「失踪していない」という、「いる父」と向き合うことで浮かび上がってきたものとは。親子という他人を写真とテキストを通して描くドキュメンタリーノベル。

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