公開日:2023年5月1日

今月の読みたい本!【5月】奈良美智、坂本龍一、マルクス・ガブリエル、エコゾフィック・アート、巨匠たちの住宅、美術教育

アート、映画、デザイン、建築、マンガ、ファッション、カルチャーなどに関するおすすめの新刊を毎月紹介。

『音楽は自由にする』

坂本龍一 著
新潮社 1000円+税 4月19日発売

2023年3月28日逝去した音楽家・坂本龍一の、2009年に刊行された語り下ろし自伝が文庫化。伝説的な編集者である厳格な父。ピアノとの出合い。幼稚園での初めての作曲。学生運動に明け暮れた高校時代。伝説的バンドYMOの成功と狂騒。たった一人の「アンチ・YMO」。『ラストエンペラー』での栄誉。同時多発テロの衝撃。そして辿りついた新しい音楽。華やかさと裏腹の激動の半生と、いつもそこに響いていた音楽への想いを語る。

『奈良美智 終わらないものがたり』

イェワン・クーン 著
河野晴子 訳 青幻舎 6000円+税 4月24日発売

2020年にイギリスのPhaidonから出版されたモノグラフの日本語版。著者はアジアと欧米で活躍する美術史家で、初期から近作までの作品を軸にし、長期におよぶ取材・関係者の証言・豊富な貴重資料を駆使して執筆された。作品をはじめ旅でのスナップショット、貴重資料など約400点の画像を収録。ルーツとしての東北から、音楽に出会った少年期、愛知県立芸術大学、ドイツ修行時代、熱狂的支持を得た2000年代の葛藤、東日本大震災がきっかけとなった北への回帰、そして未来への想いを5章に分けて展開する。

『巨匠たちの住宅:20世紀住空間の冒険』

淵上正幸 著
青土社 2600円+税 4月25日発売

建築ジャーナリストである筆者が、モダニズム建築の真髄が宿る巨匠たちの住宅を実際に訪ね歩いて、書き綴った名建築探訪。 ミース・ファン・デル・ローエ、フランク・ロイド・ライト、アドルフ・ロース、ル・コルビュジエ……20世紀を生きた巨匠たちが、住宅建築に込めた創造性のすべてに迫る。

『エコゾフィック・アート:自然・精神・社会をつなぐアート論』

四方幸子 著
フィルムアート社 3000円+税 4月26日発売

キュレーターで批評家、美術評論家連盟会長である著者による単著。エコロジーを自然だけでなく精神・社会にまで拡張するものとしてガタリが構想した「エコゾフィー」と、「社会彫刻」としてのアートという理念を掲げたヨーゼフ・ボイスを出発点にアートと関わってきた筆者は、時間・空間を超えた循環=「情報フロー」という独自の視点を持ちメディアアートの世界でキュレーションを行ってきた。本書では自然を見つめ、アーティストと交感してきた実践をもとに、非人間も含めた生態的環境を扱うアート作品をひもとく。

アートの力

マルクス・ガブリエル 著
大池惣太郎 訳、柿並良佑 翻訳協力 堀之内出版 2200円+税 4月28日発売

『なぜ世界は存在しないのか』等のベストセラーで知られる哲学者マルクス・ガブリエルによる、「アートの力の実在論(リアリズム)」(訳者解説)というべき芸術論。「アート作品はラディカルに自律している」と論じる、その真意とは? 鑑賞者のアートとの向き合い方や、アートをめぐる思考を掘り下げる1冊。

『なぜ美術は教えることができないのか:美術を学ぶ人のためのハンドブック』

ジェームズ・エルキンス 著
小野康男、田畑理恵 訳 三元社 4000円+税 5月9日発売

美術史、ヴィジュアル・スタディーズを中心に多数の著書を発表している美術史家による本書は、「いかにして、美術を教えることができるのか」に迫る1冊。講評で使われる批評の言葉を手がかりに、美術の授業で「起こっていること」を記述することで、私たちが普遍と信じ、行い続けていることの意味を問い直す。歴史、会話、理論、批評、提案、結論という各章で構成。

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