山種美術館で、特別展「犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」が、5月12日~7月7日まで開催される。
ペットとしてもっとも人に親しまれてきた犬と猫。古くから日本の絵画に描かれ、近代以降も画家たちが愛犬や愛猫をモティーフに多くの作品を描いてきた。本展では、江戸時代の俵屋宗達、伊藤若冲、長沢芦雪、歌川国芳をはじめ、竹内栖鳳、西村五雲、西山翠嶂など、動物画を得意とする近代京都画壇の画家たち、小林古径、川端龍子、奥村土牛、速水御舟ら東京画壇を代表する画家たち、さらに藤田嗣治や現在活躍中の山口晃まで、犬と猫を題材としたバラエティに富む名品を紹介する。
本展にて初公開となる《洋犬・遊女図屛風》(個人蔵)は、当時日本では珍しかった洋犬を描く貴重な作品。琳派の祖・俵屋宗達《犬図》(個人蔵)には、振り返る子犬が水墨で愛らしく表されている。伊藤若冲《狗子図》(個人蔵)では白と黒の 2 匹の子犬の対比が目を引き、長沢芦雪《菊花子犬図》(個人蔵)には、可愛い子犬たちが表情豊かに描かれる。また、愛犬家で知られる川端龍子は、愛犬ムクとモルをモデルに《立秋》と《秋縁》(大田区立龍子記念館)を制作した。
猫を描いた名作は、近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳《班猫》(重要文化財、山種美術館)。静岡の沼津で偶然出会った猫に惹かれた栖鳳は、丹念な観察と写生を通して作品を完成させた。また、サインの代わりに猫を描くこともある藤田嗣治《Y 夫人の肖像》(株式会社三井住友銀行)は、女性と4匹の猫を描いた魅力的な作品。現代作家・山口晃による《捕鶴圖》(山種美術館)は、擬人化された猫たちの個性までも描き出す。
また、犬と猫だけでなく身近な動物を描いた優品も紹介。本展初公開の菱田春草《柏ニ小鳥》(個人蔵)をはじめ、横山大観 《木兎》(山種美術館)や上村松篁《白孔雀》(山種美術館)など、花鳥画の名品も見逃せない。また、本展だけの特別企画として、大好評のゆるかわ犬・長沢芦雪《菊花子犬図》(個人蔵)と、山種美術館のトップスター・竹内栖鳳《班猫》(重要文化財、山種美術館)を撮影できる。かわいい動物に会いに行く、新しい美術館の楽しみかたを提示してくれる展示になりそうだ。