公開日:2026年7月9日

フェンスの内と外、その両方を生きて。写真家・伊波リンダが撮り続ける沖縄のかたち(聞き手:白坂由里)

南麻布のMISA SHIN GALLERYにて、伊波リンダの個展「Design of Okinawa」が7月18日まで開催中。初の写真集刊行にあわせ、沖縄を撮り続けてきた作家に話を聞いた(構成:灰咲光那)

伊波リンダ 撮影:灰咲光那

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「沖縄慰霊の日」に《Searchlight》を見る

沖縄の写真家・伊波リンダの個展「Design of Okinawa」が、南麻布のMISA SHIN GALLERYで開かれている。会期は7月18日まで。本展では、開幕日6月20日に発刊された初の写真集『Design of Okinawa』の中から25点のプリント作品とビデオ作品を展示。2009年から今年5月に撮影された最新作まで、沖縄を撮り続けてきた17年間の模索と挑戦について話を聞いた。

会場風景 Photo by Keizo Kioku Courtesy of MISA SHIN GALLERY

伊波は沖縄に暮らすアメリカ人や沖縄の人々の日常を撮影し、自身のアイデンティティとも深く関わる沖縄を主題として、写真や映像作品を制作している。「作家と現在」(沖縄県立博物館・美術館、2019)、「VOCA展2020 現代美術の展望―新しい平面の作家たち」上野の森美術館、2020)、「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」森美術館、2022)などでも注目されてきた気鋭の作家だ。

インタビューした日は6月23日、沖縄戦での全戦没者を追悼する「慰霊の日」だった。81年前のこの日は、沖縄戦最後の激戦地、糸満市摩文仁(まぶに)で日本軍の司令官が自決し、組織的な戦闘が終わった日とされているが、しかしその後も、沖縄の各地では戦闘が続き、日本軍が降伏文書に調印したのは、9月7日であった。

「六本木クロッシング2022展」でも発表された《Searchlight》は、その摩文仁の丘にある「平和祈念公園」で、慰霊の日とその前夜に上空へと照射されるサーチライトを撮影した映像作品だ。戦時中は軍事利用されていたサーチライトが、慰霊・平和の象徴として見立てられ、日本・アメリカ・イギリス・朝鮮半島・台湾の全戦没者の標柱になぞらえた「平和の光の柱」として天と地を結ぶように照射される。同作品では、サーチライトにぶつかる虫や塵、潮が光の粒子のように映り、戦没者の魂の帰来を思わせる。併せて、戦没者の遺骨が眠る鉱山の土砂が、辺野古新基地建設のために採掘されているという問題も静かに問うている。

伊波リンダ Searchlight 2022 Courtesy of MISA SHIN GALLERY

沖縄の平和祈念公園には、沖縄戦などで亡くなった242,659人(2026年6月現在)の氏名が国籍や軍人、民間人の区別なく刻銘された慰霊碑「平和の礎(いしじ)」が建ち並ぶ。そして伊波が撮るポートレイトやスナップ写真には、まさに「国籍や軍人、民間人が区別なく」写っている。その生命に対する公平さは、伊波が生まれ育った環境とも関連がありそうだ。

会場風景 Photo by Keizo Kioku Courtesy of MISA SHIN GALLERY
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