公開日:2022年6月25日

15周年を迎えた国立新美術館。メモリアルイヤーに行われるプログラムを一挙紹介

李禹煥、玉山拓郎、築地のはら、下道基行による展示・プロジェクト。大島徹也、沢山遼による講座などイベント目白押しの15周年

© 国立新美術館

15年目の国立新美術館の次なる一手は?

2022年1月15日で開館15周年を迎えた国立新美術館は、開館以来、六本木エリアのアートの一大拠点として大規模展覧会や自主企画などを行ってきた。その記念すべきメモリアルイヤーのプログラムを紹介していこう。

国立新美術館開館15周年記念 李禹煥

「もの派」を代表する美術家、李禹煥(リ・ウファン)の東京では初となる大規模回顧展が8月10日~11月7日に開催。 作家自ら展示構成を考案した同展では、1960年代の最初期の作品から最新作まで、李の仕事とその経過が網羅的に浮き彫りになる。野外展示場には石とステンレスを用いた大型作品が設営される予定。さらなる詳細はこちらの会見レポートでチェックを。

展覧会ウェブサイト→こちら

李禹煥 展覧会ポスター

NACT View

2022年から始まる新規事業が「NACT View」。黒川紀章が設計したパブリックスペースを使った小展示シリーズとして、若手から中堅の美術家、デザイナー、建築家、映像作家を招聘し、現代の多様な表現を紹介する。第1弾は現代美術家の玉山拓郎を招き、9月14日から12月26日の期間で、既存の空間を舞台に見知らぬ風景を生み出すようなインスタレーション作品を展示。同展に続く第2弾は、二次元と三次元の融合をテーマとする築地のはらが登場する予定だ。

NACT View 01に登場する玉山拓郎 Photo courtesy:Sony Park Mini

NACT YOUTH PROJECT 2022 新美塾!

アーティストの下道基行が塾長を務め、13歳~18歳のユースによる、ユースのための「表現」を学ぶ「新美塾!」を開校する。身の周りのものごとを再発見しながら、世界の見方を広げたり、表現することの楽しさを学ぶ場所を、6月から半年間にわたって下道と参加者が一緒に作っていく。アーティストのスタジオ訪問をはじめ、美術館の裏側見学や、オンライン/オフラインのミーティングなどを通して、日常や自分の中に埋まっているクリエイティブの種を見つけていく。最終的には、その活動の軌跡として展覧会や書籍のような形での発表も予定。

新美塾! キービジュアル

国立新美術館 連続講座:今、絵画について考える

15世紀イタリア・ルネサンスから今日に至るまでの多様なジャンルの絵画を紹介する展覧会が続く2022年の国立新美術館。そういった展覧会をふまえつつ、美術史研究・美術批評を牽引するゲスト講師を招き、様々な視座から絵画について深く問い直すための全4回の連続講座を開催する。今後の予定は、第3回(8月7日)に多摩美術大学准教授の大島徹也、第4回(9月19日)に美術批評家の沢山遼が登壇。参加費無料、事前申込制。

過去のイベントや今後の開催予定→こちら

国立新美術館所蔵資料に見る1970年代の美術 ― Do it! わたしの日常が美術になる

李禹煥展との連動企画として、国立新美術館の主要資料である安齊重男の写真をガイドラインに、当館のアーカイブに所蔵されている美術関連資料を紹介する小企画展を10月8日~11月7日に開催。70年代にコピー(ゼロックス)やビデオなどの自主的なメディアを用いて仮設的な日常を記録し、表現に変えた作家たちの活動から、現在に通じる読みの可能性をひもとく。観覧無料。

展覧会ウェブサイト→こちら

安齊重男 グループ361° 1973年9月 多摩川、東京 1973 © Estate of Shigeo Anzaï


このほかにも様々な展覧会が開催される15周年目の美術館について、館長の逢坂恵理子は以下のコメント寄せている。

今年で15年目を迎えた国立新美術館では、若手、中堅、ベテランと幅広い世代による作品展示とともに、講座やワークショップ、資料展示など多彩な事業を展開して、創作の軌跡を多角的に読み解きます。

15年は人間でいえば、多感な10代半ば。パブリックスペースを使った若手作家による小展示や10代のためのワークショップなど、若い世代に焦点を当てた新たなプロジェクトも開始します。美術館がひとりひとりにとって「参加し感じ考える」豊かな体験の場となることを期待しています。

逢坂恵理子

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