公開日:2024年1月1日

2024年は「龍」でめでたく展覧会初め。新年に見たい、龍がテーマの展覧会4選

今年の干支は辰(龍)。2024年のスタートは「龍」がテーマの展覧会でいかがですか? 都内を中心に4つの展覧会を紹介します

「ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」(静嘉堂文庫美術館)会場風景より、橋本雅邦《龍虎図屏風》(1895)部分 重要文化財 撮影:編集部

新年あけましておめでとうございます。新しい年がみなさんにとって良い年になるよう、心よりお祈り申し上げます。

2024年の干支は辰(龍)。古代中国で生まれた龍は十二支のなかで唯一架空の生き物で、中国では四霊獣(龍・麒麟・鳳凰・霊亀) のうちもっとも強いパワーを持つと言われています。また近年は、龍が空高く舞う様が成功と発展の象徴と結びつき、「龍神」のキーワードがビジネスパーソンを中心に注目を集めているそう。

そうした喜ばしいイメージを持ち、人々に愛されてきた龍にフィーチャーした企画が新年早々行われます。見たことのない想像上の生き物を、人々はどう描いてきたのでしょうか。

2024年は「龍」でめでたく展覧会初めはいかがですか?

博物館に初もうで(東京国立博物館)

東京国立博物館の毎年恒例の正月企画が「博物館に初もうで」。2024年で21年目を迎える今回は、4つのテーマを設けて龍の凄みと造形の繊細さを存分に見ることができます。5本の爪をもつ龍が体を大胆にうねらせている姿が螺鈿で表される《龍濤螺鈿稜花盆》(中国元時代・14世紀)をはじめ、重要文化財も多数。

重要文化財 十二神将立像(辰神) 京都・浄瑠璃寺伝来 鎌倉時代・13世紀 東京国立博物館蔵
里見重義作 自在龍置物 明治時代・20世紀 東京国立博物館蔵

また、長谷川等伯筆の国宝《松林図屏風》(1月2日~14日、 本館2室にて展示)をはじめ、本館・東洋館の各展示室で、新年の訪れを祝して吉祥作品や名品の数々を見ることができます。それに加え、新春気分を感じられるいけばなの展示や、1月2日・3日には和太鼓、獅子舞など、全館をあげてお正月を祝います。

会場:東京国立博物館
会期:2024年1月2日〜28日

ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜(静嘉堂文庫美術館[静嘉堂@丸の内])

重要文化財の橋本雅邦《龍虎図屏風》(1895)をはじめ、龍のモチーフとする絵画、染織、漆芸、金工、陶磁といった多彩なジャンルにフィーチャー。これまで公開される機会のなかった作品も多数展示される、静嘉堂の龍オールスターキャストの展覧会です。辰年生まれの方、姓名に「龍」「竜」「辰」「タツ」「リュウ」のつく方は同伴者も含めて200円割引となるユニークな制度も。

「ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」(静嘉堂文庫美術館)会場風景より、《青花龍文大壺》「大明嘉靖年製」銘 明・嘉靖年間(1522~66)  撮影:編集部
「ハッピー龍イヤー! 〜絵画・工芸の龍を楽しむ〜」(静嘉堂文庫美術館)会場風景より、橋本雅邦《龍虎図屛風》(1895)  重要文化財 撮影:編集部

龍にまつわる作品とあわせて、国宝の茶碗《曜変天目(稲葉天目)》(南宋時代、12〜13世紀)も出品されます。

会場:静嘉堂文庫美術館(静嘉堂@丸の内)
会期:2024年1月2日〜2月3日

辰づくし―干支を愛でる―(京都国立博物館)

架空の生き物でありながら、そのいっぽうではその存在が信じられ、瑞獣(特別な時に現れるめでたい生き物)だと考えられていた龍。京都国立博物館の展示では、迫力のある龍、優雅な龍、ひょうきんな龍など、多彩に描かれてきた龍を紹介します。「龍の姿」「龍はリーダー!」「龍を描く」「龍の物語」「龍の仲間」の5章構成。

昇龍墨意 高奇峰筆 須磨帖のうち 京都国立博物館蔵

会場:京都国立博物館 平成知新館2F-2~4
会期:2024年1月2日〜2月12日

龍の翔る空き地 唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ(慶應義塾ミュージアム・コモンズ)

例年、干支にかんする展覧会を行ってきた慶應義塾ミュージアム・コモンズで、今年も1月10日から龍にちなんだ作品、資料を集めた展覧会が開幕します。入場料無料、事前予約不要というのもポイント。

同時開催企画では、17世紀前半に新たな漢学・漢詩の担い手となった人々、とくににその中心にいた林羅山(はやしらざん)とその周辺人物の書を集めた展覧会「唐様前夜:林羅山とそのコミュニティ センチュリー赤尾コレクションより」が開催。

イメージヴィジュアル

会場:慶應義塾ミュージアム・コモンズ
会期:2024年1月10日~2月9日

ここで取り上げた以外にも、各地の美術館で龍やお正月にちなんだ展覧会やイベントが行われます。近隣の文化施設のスケジュールをご確認のうえ、ぜひ足を運んでみてください。

野路千晶(編集部)

野路千晶(編集部)

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